ジャズ喫茶で流したい・156
ドラマーがリーダーのアルバムって、演奏全体のバランスが良い。常にバンド演奏の後ろに控えて、演奏全体を見渡しつつ、リズム&ビートを供給する役割を担っているからだろうか。演奏の全体をよく聴き、はたまた演奏の詳細に耳を傾け、その雰囲気に合ったビートを供給する。時に鼓舞し、時に寄り添う。ドラマーはバンドの中での「女房役」である。
Jimmy Cobb『This I Dig of You』(写真左)。NYのジャズクラブ「Smoke」が運営する「Smoke Sessions Records」からのリリース。2019年2月7日の録音。ちなみにパーソネルは、Peter Bernstein (g), Harold Mabern (p), John Webber (b), Jimmy Cobb (ds)。ピーター・バーンスタインのギターがフロントを務める。
演奏はアルバム全体から聴き取れる様に、上質なネオ・ハードバップな演奏である。リーダーのジミー・コブは、1929年生まれなので、今年で90歳。90歳のドラマーである。90歳でドラムを味良くバリバリに、ある時は爆発したかの様に、自由自在〜変幻自在に叩きまくる。印象的なドラミング。これが90歳とはとても思えない。
バックのリズム・セクションが、実に良いメンバー。ピアノのメイバーンは1936年生まれ。惜しくも、つい先日、2019年9月19日に逝去した。83歳であった。このコブのリーダー作が2月7日の録音なので、メイバーンが亡くなる、僅か7ヶ月前になる。そんなことを全く感じさせない、多弁で切れ味が良い、メイバーン独特のフレーズが素晴らしい。
ギターのバーンスタインも大健闘。ゆったとしたテンポで、流麗で印象的なフレーズをキメまくる。メイバーンのピアノとバーンスタインの相性が良い。旋律楽器としてOK、リズム楽器としてもOK、ピアノとギターはその個性が似ている。下手をすれば、ギターとピアノの音って被ったりするのだが、この盤では皆無。ギターとピアノの相性の良さが際立つ。
ジョン・ウィーバーのベースも重心低く、堅実なプレイで演奏全体のベースラインをしっかりと押さえている。見事である。カルテットを構成する4人が4人とも演奏レベルは良好。音の響きは時にコード、時のモード。ハードバップの基本要素を上手く場面場面で使い分けていて、飽きが来ない。ネオ・ハードバップの好盤である。
東日本大震災から8年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« ブレイの未発表ライヴ盤 『When Will the Blues Leave』 | トップページ | 西海岸の異色ハードバップ盤 »
« ブレイの未発表ライヴ盤 『When Will the Blues Leave』 | トップページ | 西海岸の異色ハードバップ盤 »
コメント