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2019年10月15日 (火曜日)

テテの個性が集約された好盤

スペインのカタルーニャ地方が不穏である。カタルーニャ独立派幹部に長期禁錮刑。バルセロナで抗議デモ。カタルーニャ地方の事情を察すれば納得できる出来事ではある。何とか円満に解決する方策は無いものだろうか。

スペイン、カタルーニャ地方出身のジャズマンと言えば「Tete Montoliu(テテ・モントリュー)」。盲目のピアニスト。1933年生まれ。1997年、64歳で没。生まれた時から盲目であった。テテはTHE Conservatori Superior de Musica de Barcelona音楽学校でジャズと出会う。彼のピアノ・スタイルは、特にアメリカのジャズピアニストのアート・テイタムに影響を受けている。

テテのピアノは「超絶技巧」。超光速「速弾き」。限りなく端正なフレーズの連続。破綻は全く無い。確かにアート・テイタムを彷彿とさせるが、テイタムの超絶技巧な弾きっぷりよりも、より歌心が溢れている。スペインの出身であるが、スパニッシュな要素は殆ど無い。フレーズは限りなく硬質で、あくまで「クール」。それでいてスインギー。
 
 
Tete  
 
 
Tete Montoliu『Tete!』(写真左)。1974年5月28日の録音。SteeplechaseのSCS1029番。ちなみにパーソネルは、Tete Montoliu (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b), Albert 'Tootie' Heath (ds)。この盤でのテテのパートナーは、これまた「調節技巧」ベーシスト、ペデルセン、これまた「職人芸」ドラマー、アルバート・ヒース。

胸の空くような快演の数々。冒頭の「Giant Steps」は、かのコルトレーンの「シーツ・オブ・サウンド」の名曲なんだが、テテはピアノで、光速「シーツ・オブ・サウンド」を弾き切ってみせる。演奏が終わって思わず「スタンディング・オベーション」。3曲目の「Body and Soul」も高速フレーズの連続。こんなに硬質でクールでスクエアにスインギーな「Body and Soul」は聴いた事が無い。

5曲目の「I Remember Clifford」は絶品。硬質でクールで端正なタッチで、情感溢れるバラード曲を弾き切ってみせる。クールでスクエアなスイング感の中に、仄かに漂う歌心と情感。これがテテの真骨頂。テテのピアノの個性が集約された名演である。

このアルバム『Tete!』は、テテの個性を体感するに最適な好盤である。「カタルーニャの秘めた激情」。
 
 
 
★東日本大震災から8年7ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
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