桑原あいの「新ディズニー曲集」
日本人女子ジャズ・ミュージシャンの中で、最近、特に元気なのが「桑原あい」。ちょっとだけ難解なニュー・ジャズな盤でデビューしてきたので、どうかな〜と思っていたんだが、歳を重ねる毎に熟れてきて、最近はとても良い雰囲気のジャズ・ピアノを聴かせてくれている。1991年生まれだから、今年で28歳。これから中堅の域に入る、期待の有望株である。
桑原あい『My First Disney Jazz』(写真左)。そんな「桑原あい」が、ディズニー・ソングのカヴァーにチャレンジした盤。ディズニー公式カヴァー盤とのこと。ディズニー・ソングといっても、1950年代、ハードバップ全盛期からの「ジャズ・スタンダード曲」としての曲では無く、最近のディズニー・ソングを中心に選曲して、それだけでも新鮮な印象がある。
『アラジン』から「ホール・ニュー・ワールド」「フレンド・ライク・ミー」。不朽の名作『美女と野獣』のメドレー。『トイ・ストーリー2』『モンスターズ・インク』『塔の上のラプンツェル』『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』など、バラエティに富んだアレンジがなかなか優れていて、聴き応えがある。全曲聴き通しても全く飽きが来ない。
ちなみにパーソネルは、Ai Kuwabara: Piano (#1~10) / Keisuke Torigoe: Bass (#1, 5, 8, 10) / Takumi Katsuya: Electric Bass (#2, 6, 7, 9) / Akira Yamada: Drums (#1, 2, 5, 6, 7, 8, 9) / Takezo Yamada: Trumpet (#1, 7) / Yasuki Sogabe: Tenor Saxophone, RIO: Baritone Saxophone (#1) / MARU: Vocal (#1) / Akira Wada: Vocal & Chorus (#9) / Kenta Okamoto: Percussion (#2) 。これに弦楽四重奏 (#3, 8)が加わる。
基本は、桑原あいのピアノをメインとして、ドラムは曲毎に演奏フォーマットを変え、メンバーを変え、管を入れたり、ボーカルを入れたり、さらに弦楽四重奏が加わる。ドラムは山田玲が一手に引き受け、ベースはアコベが鳥越啓介、エレベを勝矢匠が担当。このピアノ・トリオをベースとして、トランペットやサックス、ボーカルなどのゲストを迎えて、それぞれの曲に相応しい音を形成している。
演奏自体の響きも、しっかりとネオ・ハードバップな響きをキープしていて、新鮮な響きがする。新しいディズニー・ソング集という面持ちで、聴いていてとても楽しい。ネオ・ハードバップな好盤として、じっくりと腰を据えて聴くも良し、メロディーが印象的なので、ながら聴きにも最適。ちょっと小難しいニュー・ジャズな音も良いが、こういうあっけらかんとしたカヴァー盤も魅力的である。
東日本大震災から8年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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