三輪洋子、約2年ぶりの新盤
2019年になっても、日本人女子ジャズ奏者の快進撃は続いている。この人のピアノについてはデビュー以来、ズッと追いかけている。アメリカン・ルーツ音楽がベースの、ゴスペル風、若しくはフォーキーなフレーズが独特。特に、その独特の個性が自作曲で映える訳で、出てくるリーダー作、出てくるリーダー作、楽しみに聴いて来た。
三輪洋子『Keep Talkin'』(写真左)。今年7月のリリース。三輪洋子、約2年ぶりの新盤である。ちなみにパーソネルは、Yoko Miwa (p), Will Slater (b), Scott Goulding (ds)。三輪がお得意のピアノ・トリオ。オリジナル曲に加え、Monk, Mingus、Beatles, Joni Mitchellらの曲を取上げた、様々な表情を感じることの出来る「万華鏡」の様な作品。
しかし、冒頭のタイトル曲「Keep Talkin' 」のラテン調の演奏には、えっ、そっちに行くの、と思って、ちょっと面食らう。2曲目のモンク作「 In Walked Bud」については、スタンダード曲の演奏になるのだが、とてもお行儀の良い、原曲のイメージを絶対に損なわない優等生的な演奏で、ちょっと物足りなさが残る。この傾向は、5曲目のミンガス作「 Boogie Stop Shuffle」でも同様。
3曲目の自作曲「Secret Rendezvous」から、いつもの三輪の個性が出始めて、演奏全体の雰囲気が「よそ行き」から「普段着」に変わっていく。4曲目の自作曲「Sunset Lane」は、タッチの確かな、耽美的な流麗なピアノ。深めのエコーが実に「欧州的」。6曲目の「Golden Slumbers / You Never Give Me Your Money」はレノン=マッカートニーのカヴァー。フォーキーな三輪のピアノが素敵である。
7曲目の自作曲「Tone Portrait」で完全復調。躍動感溢れる、明確なタッチで、跳ねるように踊るようにピアノの音が乱舞する。そして、9曲目のジョニ・ミッチェル作「Conversations」は三輪の個性全開。アメリカン・ルーツ音楽がベースの、ゴスペル風、若しくはフォーキーなフレーズにワクワクする。これこれ、この音が一番、三輪らしい。
ラテン調の曲やジャズ・スタンダード曲になると「よそ行き」な演奏になるが、純ジャズな演奏としてはレベルが高い。これはこれで、水準以上の出来ではあるので、全体の雰囲気を阻害するものでは無い。次作では、ジャズ・スタンダード曲を三輪の個性全開で自由奔放に弾き倒して欲しい。アメリカン・ルーツ音楽がベースの、ゴスペル風、若しくはフォーキーなスタンダード曲の解釈。良い感じではないか。
東日本大震災から8年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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