米国西海岸のピアノ・トリオ
米国西海岸ジャズであるが、どうもピアノの人材が手薄ではないか、と感じている。米国西海岸ジャズと聞いて、サックス奏者、ホーン奏者、ベーシスト、ドラマーと具体的なジャズマンの名前がパッと浮かぶのだが、ピアノだけは「アンドレ・プレヴィン」から思案投げ首である。プレヴィンはクラシック・ピアノがメインだから、生粋のジャズ・ピアニストとして考えると具体的な名前が挙がらない。
『Claude Williamson』(写真左)。邦題『クロード・ウィリアムソン・トリオ』。Bethlehemレコードからのリリース。1956年1月19日、ロサンゼルスの「Radio Recorders」での録音。ちなみにパーソネルは、Claude Williamson (p), Don Prell (b), Chuck Flores (ds)。 黒をバックに、ジャズ・ピアニストの名前と小さなグランド・ピアノのイラストだけの思いっ切りシンプルなジャケット。
米国西海岸ジャズのジャズ・ピアニストは、と考えていて、やっとこの「クロード・ウィリアムソン」の名前を思い出した。1926年11月生まれ。米国ヴァーモント州出身。クラシックを10年間学び、米国西海岸ジャズのピアニストとして数々のセッションに参加。ウィリアムソンのピアノは端正かつスインギー。アドリブ・フレーズの弾き回しは「ビ・バップ」。故に「白いパウエル」と呼ばれ、西海岸ジャズの代表的ピアニストとして高評価である。
しかし、思いっ切りシンプルなジャケットである。こういうジャケットって、何か良い音が入っている予感がするから不思議。もともと、ウィリアムソンは「バド・パウエル」を敬愛している。当然、この時代の彼のピアノは「ビ・バップ」。しかし、東海岸ジャズの様な、熱くてテンションの高い弾き回しでは無く、少し余裕も持って、テンションは高いが適度、典雅にクールに弾き回す。このシンプルさと小粋なところは、明らかに「西海岸ジャズ」。
ミディアムテンポ曲が多く、ウィリアムソンのバップなピアノがピッタリ填まって、良い雰囲気のピアノ・トリオ。スインギーなアドリブ・フレーズが小気味良い。適度な推進力を伴って、洒脱に小粋にピアノを弾き進めていく。「白いパウエル」と形容されるが、パウエルより余裕があり、テンションは適度。フレーズは典雅で聴き易い。逆に聴き易い分、ジャジーな雰囲気が損なわれ、ちょっとイージーリスニング・ジャズっぽく響くのが残念。
ベースのドン・プレルとドラムのチャック・フローレスのリズム隊は、正確で心地良いリズム&ビートを刻む。そこにウィリアムソンのピアノが絡んで、三位一体の典型的なハードバップなピアノ・トリオ演奏が展開される。しかし、その音は熱くは無い。適度なテンションの中、典雅でクールな音。なるほど、これが「米国西海岸ジャズのピアノ・トリオの音」なのか。米国西海岸ジャズを聴き進める中、このピアノ・トリオ盤は外せない。
東日本大震災から8年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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