« ジャズ喫茶で流したい・155 | トップページ | 米国西海岸のピアノ・トリオ »

2019年9月 3日 (火曜日)

ソニー・クリスの個性を聴く

米国西海岸ジャズのアルト・サックス奏者、アート・ペッパー、そして、バド・シャンク。そう言えばもう一人いる。ソニー・クリスである。テネシー州のメンフィスに生まれ、15歳でロサンゼルスに移住。1956年にニューヨークのインペリアル・レコードと契約し、一連の好盤を録音している。1965年にはプレスティッジ・レコードと契約し、ポップなハードバップ盤をリリースし、ヒットさせている。

Sonny Criss『Jazz- U.S.A.』(写真左)。Imperialレコードからのリリース。1956年1月26日、2月24日、3月23日の3セッションからの選曲。ちなみにパーソネルは、Sonny Criss (as), Bill Woodson (b), Chuck Thomson (ds), Barney Kessel (g), Kenny Drew (p)。パーソネルを見渡すと、西海岸ジャズの中堅の優れ者達が集結している。時は1956年。一番、西海岸ジャズが充実していた頃。この盤の音は期待出来る。

ソニー・クリスのアルト・サックスはとても特徴的な音がする。アルト・サックスが目一杯、鳴っているような、強く真っ直ぐブリリアントな音。音の強弱はあまり考えずに、目一杯、アルト・サックスを吹き上げる。いかにも「アルト・サックスらしい」音。そんなポジティブで「根明」なアルト・サックス。そんなソニー・クリスの音が心ゆくまで堪能出来る。
 
 
Jazz_usa
 
 
このポジティブで「根明」なアルト・サックス。恐らく、好き嫌いが分かれるだろうなあ。陰影に乏しいところがあるんで、そこが「表現力に乏しい」と評されるのではないか、と危惧する。陰影には乏しいかもしれないが、強弱でその部分をカバーしている。ので、表現力に乏しい、という感じは全く無い。

アドリブ・フレーズも聴き応えのある展開で、この「根明」なアルト・サックス飽きるかな、と思ったが、意外と全編聴き通して飽きることが無い。バックのバーニー・ケッセルのギターを含めたリズム・セクションも、さすが名うての名手たち、手慣れた感じで、内容のあるバッキングを展開している。西海岸ジャズらしく、端正で整った演奏は安心して楽しめる。

ソニー・クリスのアルト・サックスは「あっけらかん」としている。とにかく、アルト・サックスを吹くのが楽しくて仕方が無い、という感じで、脳天気に吹きまくる。これもまた彼のアルト・サックスの魅力である。明らかに、チャーリー・パーカーの影響は受けているが、根明な音の裏に「翳りと哀愁」を感じさせる、これもまたソニー・クリスの個性である。この盤、ソニー・クリスの個性を確認するのに最適な盤だろう。好盤です。
 
 
 
東日本大震災から8年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« ジャズ喫茶で流したい・155 | トップページ | 米国西海岸のピアノ・トリオ »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

« ジャズ喫茶で流したい・155 | トップページ | 米国西海岸のピアノ・トリオ »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー