ジャズ喫茶で流したい・155
米国西海岸ジャズをいろいろ聴いていて、アルト・サックスのバド・シャンク(Bud Shank)って、西海岸ジャズのキーマンの一人だと思うのだ。我が国では、米国西海岸ジャズのサックス奏者としては、アート・ペッパーばかりがクローズアップされて、他のサックス奏者については、殆ど語られることは無い。ほんと、1980年代までの日本のジャズ・シーンって、西海岸ジャズに冷たかったんやなあ、と改めて思う次第。
米国西海岸ジャズのアルバムを聴き進めていて、好盤と評価されるアルバムのパーソネルを都度確認すると、結構、バド・シャンクの名前が挙がっていることに気付く。バド・シャンクは白人のアルト・サックス奏者で、少しエッジに丸みのある切れ味の良いブロウと流麗で洒落たアドリブ・ラインが個性。テクニックも優秀。僕は、このアルバムを1991年に入手して、バド・シャンクの個性に初めて触れた。
『The Bud Shank Quartet』(写真左)。Pacific Jazz 1215番。1956年1月25日、ハリウッドは「Capitol Studios」での録音。ちなみにパーソネルは、Bud Shank (as, fl), Claude Williamson (p), Don Prell (b), Chuck Flores (ds)。バド・シャンクのアルト・サックスがフロントのワンホーン・カルテット。「Featuring Claude Williamson」のサブタイトルが付いていて、ピアノのクロード・ウィリアムソンもメインに扱われている。
西海岸ジャズらしく、アレンジも良好、しっかりとリハーサルを積んで、本録音に臨んでいる様子が、演奏を通じて良く判る。とにかく破綻が無く流麗なのだ。特に、バックのベースとドラムはリズム&ビートのキープに集中しているが、非常に正確な、とても味のあるリズム・キープを実現している。雰囲気は流麗で洒落たビ・バップなリズム&ビートである。
そんなリズム隊をバックに、バド・シャンクのアルト・サックスが実に雰囲気のあるブロウを聴かせてくれる。とっても趣味の良いアルト・サックスである。西海岸ジャズらしからぬ、力感溢れるブロウも披露するが、やはり洒脱で流麗。そこが東海岸ジャズと異なるところ。そして、ピアノのウィリアムソンが実にいい音を出していて、思わず聴き耳を立てる。芯があるが柔らかで流麗なタッチが実に西海岸ジャズらしい。
ジャケット・デザインもバド・シャンクの上半身のイラストをあしらっていて趣味が良い。リリースしたレーベルは「パシフィック・ジャズ」。ベツレヘム・レコードと並んで、米国西海岸ジャズ御用達のジャズ・レーベルである。そう、パシフィック・ジャズも米国西海岸ジャズを語る上で、絶対に外せないジャズ・レーベルである。パシフィック・ジャズについても、探求する必要がありそうだ。
東日本大震災から8年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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