こんなアルバムあったんや・118
こんなアルバムあったんや・118
ジャズは様々な奏法や表現方法があって、聴いていてとても楽しい。こんなんもジャズなんか、とか、これってジャズなん、っていうジャズもあって、いかにジャズって裾野の広い、表現の幅の広い音楽ジャンルだということが良く判る。しかし、どんな奏法も表現方法も、基本的に「即興演奏」がメイン。ということはジャズである。
Antonio Sanchez『Lines In the Sand』(写真左)。2018年5月の録音。現代を代表するドラマー、アントニオ・サンチェスの最新作品。レギュラー・バンドによる作品。ちなみにパーソネルは、Antonio Sanchez (ds, vo), John Escreet (p, rhodes, syn), Matt Brewer (b, el-b), Thana Alexa (vo, effects), Chase Baird( ts, EWI), Nathan Shram (viola), Elad Kabilio (cello)。
テーマは「現代アメリカに投げかける6編の楽曲」。現在のアメリカ合衆国への憂いと自らの強烈な思い。自らが筆をとったライナーノーツを読んでも、その「想い」が良く判る。このリーダーのサンチェスの「想い」を念頭に聴けば、この壮大な組曲の奏法や表現方法の意味することが理解出来る。
メキシコからの移民者である彼の現在の米国大統領への怒りが、この壮大な組曲の中に表現されている。思わず、米国の公民権運動時代の、ベースのチャールズ・ミンガスや、ドラムのマックス・ローチ、サックスのジョン・コルトレーン等を思い出しました。ジャズは時として、政治に対する意志を表現したりする。サンチェスの今回の新盤もその流れのひとつ。
思想的な面を離れて演奏だけに着目してみると、リーダーのサンチェスは、壮大な組曲の中で、実に印象的な素晴らしいドラミングを披露しています。サンチェスの超絶技巧な意志の入ったドラミングを中心に、バンド全体に緊迫感のある空気を創り出して行く。壮大な交響曲の様な、壮大なプログレッシブ・ロックの様な先進的な演奏。
加えて、素晴らしいパフォーマンスを披露しているのが、サックスの「チェイス・ベアード」。説得力のある、骨太の重量のあるサックスが素晴らしい。ベアードは、マイケル・ブレッカーばりのEWIも操っていて、これがまた素晴らしい。この新盤、純粋にジャズとしても高く評価出来る好盤です。
東日本大震災から8年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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