ジャケットの印象にビビらずに
ブルーノート・レコードの4300番台の聴き直しが順調に進んでいる。4300番台がリリースされる頃には、総帥アルフレッド・ライオンは引退し、ブルーノートを米リバティー社に売却している。売らんが為のアルバム制作にプロデュースが傾き、俗っぽいアルバムやポップに過ぎるアルバムも散見される。硬派なブルーノート・ファンからすると「許せん」というアルバムも確かにある。
しかし、逆に従来のブルーノートらしさを継承しているアルバムも沢山ある。この玉石混交としているところがスリリングでもあるのだ。売らんが為の「俗っぽいアルバムやポップに過ぎるアルバム」については、当時、ポップスやロックの台頭による圧力が半端ない時代であり、ジャズ全体がその将来について不安視し始めた時代でもあるので仕方の無いことでもある。
Grant Green『Carryin' On』(写真左)。ブルノートの4327番。1969年10月3日の録音。ちなみにパーソネルは、Grant Green (g), Claude Bartee (ts), Willie Bivens (vib), Earl Neal Creque, Clarence Palmer (el-p), Jimmy Lewis (el-b), Idris Muhammad (ds)。パッキパキの一本弾きギター、グラント・グリーンのソウル・ジャズである。
こってこてファンキーな、それでいてダンサフルでポップな演奏が心地良い。オフなリズム&ビートがしっかりと効いているので、ポップな味付けがされていても、イージーリスニングには傾かない。それどころか、それぞれの楽器の演奏には、しっかりと芯があって、明らかにジャズ畑出身の筋金入りのジャジーな演奏なのが良く判る。
グルーヴィー。そして、軽やかでポップ。そして、どこかR&Bっぽいところがある。軽快でポップな、そう「モータウン」の様な響き。グラント・グリーンの唄うようなアドリブも実にソウルフルで、グリーンの個性である「こってこてのファンクネス」が良い方向に作用する。思わず腰が動き、足でリズムを取り始める。
ジャケットだけがねえ。このヒッピー・ムーヴメント風の「サイケデリックな」ジャケットのデザインで損をしている。このジャケットから、従来のブルーノートらしさを底に秘めた、硬派でしっかりと芯のあるソウル・ジャズがこの盤に溢れている、なんて想像出来ない(笑)。ジャケットの印象にビビらずに、一度は聴いて頂きたい、4300番台らしい好盤です。
東日本大震災から8年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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