ジャズ喫茶で流したい・152
ジャズの新盤を聴いていると、これは、という素敵なアルバムに遭遇することがある。それも、これ誰だ、という感じの全く知らない名前のジャズマンが多い。確かにジャズの裾野は広い。長年、既に40年以上、ジャズを聴き続けているが、それでも「これ誰だ」という素敵なジャズメンに遭遇することがまだまだある。
Scott Robinson『Tenormore』(写真左)。2018年1月の録音。ちなみにパーソネルは、Scott Robinson (ts), Helen Sung (p, org), Martin Wind (b), Dennic Mackrel (ds)。パーソネルを見渡してみて、誰一人として旧知のジャズ・ミュージシャンはいない。う〜ん、ジャケットも押しの強いテナー・マンのおっさんのアップ。最初はかなり「ひいた」。しかし、こういう強面顔のミュージシャンって、味のある、職人肌の人が多い。ちょっとだけ期待して「聴いてみた」。
冒頭の「And I Love Her」。これって、レノン&マッカートニーの名曲のカヴァーやん、と思っていたら、ゆったりおもいっきり、エモーショナルで情感たっぷりなテナー・ソロがブワーッと出てくる。これ素晴らしいやん。思わず、ジャケットの強面顔をまじまじと見直す。このテナーマンのおじさん、凄いんやないか。で、2曲目「Tenor Eleven」、ドラムとベースとピアノが入って、正統派な純ジャズなカルテット演奏。ダンディズム溢れるテナーサックスが凄く心地良く響き渡る。
良い。これは良い。これは素晴らしく官能的で躍動的で耽美的なテナー・サックスである。ブラスの響きも芳しく、テナー・サックスのブロウを心ゆくまで堪能出来る。7曲目の「Rainy River」や9曲目の「The Nearness Of You」ではオルガンが入って、これまたジャジーでファンキーな雰囲気が蔓延し、そんな中をロビンソンのテナーが官能的に練り歩く。
ロビンソンのテナー・サックスは、その表現について幅が広い。伝統的なハードバップなブロウから、モードも充実。いきなりフリーキーに吹き上げることも出来る。速いパッセージもイケるし、バラードな表現力も抜きんでている。収録されたどの曲もロビンソンのテナーの魅力が溢れている。今まで、どうしてこんな素敵なテナーマンを知らなかったんだろうか。逆に、今回、出会えて良かった。生きていて良かった。
このロビンソンの新盤、ロビンソンは様々な種類のサックス吹き判ることが出来る名手なんだが、今回は「一番得意なサックスはこれだ」ということで、テナー・サックスだけに絞り込んで録音した盤とのこと。気合い十分なのが聴いてとれる。この盤、ほんと好盤です。ジャズ・テナーを堪能するのに最適なアルバム。特にテナー・サックス好きのジャズ者の方々には絶対のお勧め。いや〜良い盤に出会えました。
東日本大震災から8年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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