これも「ヒーリング・ジャズ」
「聴く者に精神的に訴求する、心を揺さぶる」スピリチュアル・ジャズとは違って、聴く者を気持ち良くさせ、心地良くさせ、心を癒す「ヒーリング・ジャズ」。一昨日、そのヒーリング・ジャズの好盤、ベン・ウェンデルの『Seasons』を聴いていて、Aaron Parks (p) の名前を見つけた。そう、彼もヒーリング・ジャズなアルバムをリリースしていたなあ。
Aaron Parks『Little Big』(写真左)。2018年10月のリリース。ちなみにパーソネルは、Aaron Parks (p, key), Greg Tuohey (g), David Ginyard (b), Tommy Crane (ds)。 ジャケット・イメージからも、ホットに燃えるジャズでは無く、クールに燃えるジャズであろうと、また旧来のハードバップでは無い、新しい響きの「ニュー・ジャズ」系の盤であろうと事前に想像がつく。
出てくる音は、クールで印象的な、それでいてウォームなエレクトリック・ジャズである。何処までも穏やかでクール。しかし、バックで支えるリズム&ビートは、柔らかではあるが躍動的。聴いているととても心地良い。思わずフーッと溜息が漏れる。この盤に詰まっている音世界は、聴く者を気持ち良くさせ、心地良くさせ、心を癒す「ヒーリング・ジャズ」である。
現代のエレクトリック・ジャズである。1970年代のECMレーベルでの「ニュー・ジャズ」に通じるコンセプト。でも、あの頃の「ニュー・ジャズ」は旧来のハードバップから脱皮して、それまでに無い、新しい響き、展開、イメージのジャズをやる。それについて「チャレンジ」するスピリットが前面に押し出ていた。少し手探りと少しの思索が見え隠れしつつ、大胆にチャレンジする。その雰囲気に我々聴き手は共感し同調した。
しかし、このアーロン・パークスの主宰する「ヒーリング・ジャズ」は確信に満ちている。確信に満ち、揺るぎの無いスタンスで展開する、現代の「ニュー・ジャズ」。従来のハードバップやフリー・ジャズのイメージの微塵も無い、クロスオーバーやフュージョン、民俗音楽や米国ルーツ音楽などを融合した、ファンクネス皆無の新しい現代ジャズの音世界。これが聴いていてとても心地良い。
ヒーリング・ジャズというコンセプトの中で、展開するエレクトリック・ジャズは癒しに満ちている。パークスのリーダー作であるが故、パークスのピアノ、キーボードがとても印象的に響く。思わず、イージーリスニングに傾くかと身構えるが、バックのリズム&ビートがしっかりジャジーな響きを宿している分、決してそうはならない。極上の「ヒーリング・ジャズ」盤である。
東日本大震災から8年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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