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2019年7月31日 (水曜日)

今のジャズ演奏のレベルの高さ

長年の間に、ジャズについてはテクニックは過去に比べてレベルが高くなっている。また、演奏内容も深化していて、特に1980年代半ば、純ジャズ復古のムーヴメントが起こって以降、飛躍的に純ジャズの演奏レベルは上がった、と感じている。もう今では独学でジャズのプロ・ミュージシャンに成り上がった人はいないのではないか。

Eric Reed『Everybody Gets the Blues』(写真左)。2018年11月6日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Eric Reed (p & fender rhodes), Tim Green (as, ss), Mike Gurrola (b), McClenty Hunter (ds)。ティム・グリーンのサックスがフロントのカルテット編成。本盤はリーダーのピアニスト、リードが影響を受けた様々なアーティストの曲を選曲し、新しいアレンジで演奏している。

エリック・リードのピアノは「端正」。マッコイ・タイナーの様にハンマー打法よろしくガンゴン鍵盤を叩く様に弾きまくる力強さと、優しく柔らかなロマンチシズム溢れる旋律を弾きこなす繊細さとが同居する。粘りは無く、良く手が回る。ファンキーな要素はほとんど感じない程、ピアノの音質は「ドライ」。切れ味が良いというよりは粒だちが良いピアノ。彼のピアノを聴いていると「今のジャズピアノ」を感じる。
 
 
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冒頭のリード作の「Everybody Gets the Blues」の演奏を聴いて、ジャズの演奏ってレベル高くなったなあ、とつくづく思った。モーダルな演奏ではあるが、ゆったりと余裕綽々の演奏。リードのピアノは耽美的で流麗。サイドメンの演奏レベルも高い。ベースは堅実で胴鳴りが魅力的、ドラムは丁々発止と柔軟なビートを供給し、そこにストレートで濁りの無いサックスがスッと入ってくる。実に素晴らしい高度な演奏。

「今のジャズ演奏」のレベルの高さをビンビンに感じる。カヴァー曲については優れたアレンジ力を感じる。スティーヴィー・ワンダーの「Don’t You Worry ‘bout a Thing」、レノン=マッカートニーの「Yesterday」のアレンジには思わずニンマリ。コルトレーンの「Naima」でのフェンダー・ローズの音は素晴らしいの一言に尽きる。その優れたアレンジに応えるリードのピアノは、これまた素晴らしい。

実にレベルの高いカルテット演奏である。恐らくこの演奏のレベルが、現代の純ジャズの演奏レベルの「1つの基準」なのだろう。ジャズはアートだ、と言われて久しいが、確かにこの盤のカルテットの演奏を聴いていると至極納得である。クラシックと対極にある「即興演奏」が旨の音楽なのだが、ここまで演奏の極みを高められるとは。好盤です。
 
 
 
東日本大震災から8年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
 
Never_giveup_4
 
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