ウエス・モンゴメリーの遺作 『Road Song』
小型台風が去って湿気だけが残った。梅雨が本格化である。これだけ気圧が乱高下すると体調が優れない。体調が優れないとハードなジャズはちょっとしんどい。耳当たりの良いジャズが聴きたくなる。でも、耳当たりが良いだけでは、ジャズ者の矜持が汚される様で、内容的には硬派で耳当たりの良いジャズを物色することになる。
ふと浮かんだ名前が「ウエス・モンゴメリー(Wes Montgomery)」。そうだウェスを聴こう。ウェスの晩年のイージーリスニング・ジャズを聴こう、ということになる。そして選んだ盤が、Wes Montgomery『Road Song』(写真左)。1968年5月の録音。一か月後の6月にウェスは、心臓発作が原因で45歳で急逝。この盤は「遺作」である。
1967年の『A Day in the Life』と『Down Here on the Ground』とこの『Road Song』を加えて「CTI3部作」とか「A&M3部作」等と呼ばれる。特に『A Day in the Life』は、当時のジャズ・レコードとしては異例の20万枚のセールスを記録。また「ダウンビート誌」では、ギター部門の人気投票No.1に選出されるなど、人気絶頂の頃のこの『Road Song』の録音〜発売だった。
弦入りのイージーリスニング志向の内容。パーソネルを見渡せば、主だったところで、Wes Montgomery (g), Herbie Hancock (p), Richard Davis (b), Grady Tate (ds), Ray Barretto (perc) 等々、当時のクリード・テイラー率いるA&Mレコードの人気ジャズメンをズラリ集めて、豪勢で厚みのあるイージーリスニング・ジャズの好盤に仕上がっている。そんな中でもウエスのギターは流麗で歌心抜群。芯のあるバップなギターは意外と硬派。
弦入りのバックが甘めのイージーリスニング風なのだが、これが良い効果を生んでいる。ウエスのギターは結構硬派でバップなギターなので、甘め伴奏をバックに、ウエスのギターがクッキリ浮かぶ。「Greensleeves」や「Fly Me to the Moon」など甘めのスタンダードやビートルズの「Yesterday」、サイモン&ガーファンクルの「Scarborough」など甘々なポップス曲のカヴァーが選曲されているが、意外と聴き応えがある。
イージーリスニング・ジャズとして敬遠するには勿体ない盤。後のフュージョン・ジャズの「ソフト&メロウ」な電気ジャズの雰囲気を10年ほど先取りした内容で、特にフュージョン・ジャズ者には必須のアイテムだろう。イージーリスニング・ジャズな内容ではあるが、決して甘きに流れない。バック・メンバーの演奏の内容も充実している。十分な聴き応え。ウエスのギターは素晴らしいの一言。
東日本大震災から8年3ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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