北欧ジャズの端正で硬質なバップ
昨日、北欧ジャズについて「透明度の高い、エッジの効いた音の響き。深いエコー。ミッドテンポがメインの落ち着いたアドリブ展開。耽美的であるが甘さに流されない。凛とした音の美しさと切れ味。北欧ジャズは世の中に現れ出でてより、現代まで、この音の傾向をしっかりと引継ぎ、維持している。」と書いた。とは言え、北欧にジャズが根付いた時代、最初からいきなり、耽美的で凛とした音世界が存在した訳では無い。
Bent Axen『Axen』(写真左)。録音時期は、Tracks A1 to A4が1959年12月29日の録音。Tracks A5, B1 to B5が1961年1月17日の録音。パーソネルは、Bent Axen (p), Niels-Henning Ørsted Pedersen (b, tracks: A5, B1 to B5), Ole Laumann (b, tracks: A1 to A4), Finn Frederiksen (ds), Bent Jædig (ts, tracks: A1 to A4), Allan Botschinsky (tp, tracks: A1 to A4)。
デンマークのジャズ・レーベル「SteepleChase」からのリリース。サブタイトルが「Bent Axen Trio, Quintet & Sextet」。3種類の編成で聴かせてくれるのは「北欧のハードバップ」。どの曲を聴いても「バップ」だらけ。しかし、米国のバップのコピーでは無い。ファンクネス皆無、飛び散る汗と煙は全く見えず、クールに燃える、端正で硬質なハードバップ。決して乱れることは無く、決して暴走することは無い。
リーダーのベント・アクセンのピアノは耽美的なバップ・ピアノ。どこかビル・エヴァンスの響きがする。端正に硬質に透明度を上げたビル・エヴァンス。特にトリオの演奏にその傾向が顕著。いわゆる「北欧ピアノ・トリオ」の原型がここにある気がした。ストイックにバップ・ピアノを追求する修道僧のような演奏。クールだが熱く濃厚な節回しが魅力。
それぞれのサイドマンの演奏を聴いていると、米国のハードバップを良く研究し、確実に自らのものに昇華しているなあ、と感じる。特にリズムセクションにその傾向が顕著。ベースはチェンバースの様であり、レイ・ブラウンの様でもあり。ドラムはブレイキーの様でもあり、フィリージョーの様でもあり。でも、コピーするのでは無く、そのエッセンスを取り込んで、欧州ジャズっぽい音に昇華している。
北欧ジャズも、先ずはモダン・ジャズの基本である「ハードバップ」をしっかり押さえていた。その記録がこのベント・アクセンのリーダー作『Axen』である。さすが「SteepleChaseレーベル」である。実に素敵な北欧ジャズの記録を残しておいてくれた。北欧ジャズの「端正で硬質なバップ」演奏である。
日本大震災から8年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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