聴いて楽しいモード・ジャズ
大型連休である。先月末から昨日まで、栃木路に逗留していた。栃木路に逗留している間は、基本的に音楽は聴かない。自然の中で、自然の音を聴いてノンビリ過ごしている。さすがに3日も音楽を聴かずにいると禁断症状が出てくる。断食みたいなものなので、今日、久し振りに聴いたジャズは、どこか新鮮な響きがしている様に感じる。
ブルーノートの4300番台である。今日の盤は、McCoy Tyner『Time For Tyner』(写真左)。1968年5月17日の録音。ブルーノートの4307番。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p), Bobby Hutcherson (vib), Herbie Lewis (b), Freddie Waits (ds)。 コルトレーン亡き後、タイナーのピアノ・トリオ+ヴァイブのカルテット編成で、コルトレーン・ライクなモード・ジャズを展開している。
Elvin Jones『The Ultimate』をご紹介した時に、エルヴィンは「インパルス・レーベルに移籍したばかりの頃のコルトレーン・カルテットの音世界が一番良かったと思っていたのではないか。あの頃の演奏が、一番やりたかった演奏ではないのか」と想像した。今回、このマッコイ・タイナーのアルバムを聴くと、やはりタイナーもエルヴィンと同じ事を考えていたのではないか、と思うのだ。
この『Time For Tyner』に詰まっている演奏は、どれもが「モード・ジャズ」。ピアノを担当するタイナーは、明らかに「インパルス・レーベルに移籍したばかりの頃のコルトレーン・カルテット」の時のタイナーのピアノそのもの。演奏のアレンジ自体もコルトレーン・カルテットのモード・ジャズのアレンジの雰囲気を忠実に踏襲している。
タイナーのピアノ・トリオをリズム・セクションとしてフロントを張るハッチャーソンのヴァイブがこれまたコルトレーンの雰囲気を踏襲している。ヴァイブの速弾きによる「シーツ・オブ・サウンド」、アドリブ・フレーズの「モーダルな展開」、いずれもコルトレーンか、と思ってしまう。実際、ヴァイブの音をテナーの音に置き換えたら、コルトレーンになるだろう、と強く感じるのだ。
タイナーのモード・ジャズは、コルトレーンよりもコルトレーンらしい響きに満ちていて、コルトレーンが目指したモード・ジャズの最終形の1つがこの盤に集約されている様に感じる。モード・ジャズの好盤としてお勧めである。しかし、ブルーノートの4300番台のジャケットで酷いジャケットが多いなあ。タイトルからのイメージがこの「時計の文字盤の真ん中にタイナーの顔」。デザインセンスがなさ過ぎである。
東日本大震災から8年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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