エレ鍵盤楽器好きには堪らない
1970年代に入って、電子楽器は急激に発達した。僕達はリアルタイムにその「発達」を体験して来た年代なんだが、特にビックリしたのが「シンセサイザー」の登場。初めてその音を聴いたのは、プログレ・トリオ、Emerson, Lake & Palmerの『展覧会の絵』だったが、何の音だか全く判らず、とにかく「これは面白い」と何回も繰り返し聴き込んだのを覚えている。
ジャズ界においても、1970年代に入って、電子キーボード、代表的なものとしては、フェンダー・ローズ、シンセサイザー、電子ピアノ(エレピ)などがジャズにも入り込んできた。アコースティック・ピアノ(アコピ)と同じ鍵盤楽器なので、アコピの名手はエレピの名手の思いがちなのだが、これが同じ鍵盤楽器ながら全く扱いが異なるもので、アコピの名手が必ずしもエレピの名手では無い、という事象が発生した。
1980年代に入ると、デジタル機材が出現し、キーボードもその例に漏れず、デジタル化に染まっていった。これがまた、アナログ・キーボードと音の性質が全く異なり、デジタル・キーボードに対しても、それなりのノウハウとテクニックが必要であることが判った。しかし、聴く方としては、音の種類の裾野がグッと広がって、キーボードがメインのコンテンポラリーなジャズを聴くのが楽しみになっていった。そして、21世紀に入り、今年は2019年。
Otmaro Ruiz, Jimmy Branly & Jimmy Haslip『Elemental』(写真左)。2018年11月のリリース。ちなみにパーソネルは、Otmaro Ruiz (ac-p,el-p,syn), Jimmy Branly (ds), Jimmy Haslip (b) 。オトマロ・ルイーズ(写真右)のキーボードをメインに据えた、トリオ編成である。オトマロ・ルイーズは、1964年、ベネズエラ、カラカス生まれ。実に理知的でセンスの良いキーボード奏者である。
アルバムの前半は、シンセサイザーとか電子ピアノとか、エレ・キーボードがメインの演奏。実に趣味の良い典雅なフレーズをエレピやシンセで弾き進めるので、実に聴いていて心地良い。雰囲気的にはチック・コリアとハービー・ハンコックの「ええとこ取り」。それぞれのキーボードの特性を良く把握しているのであろう、とても良い音でエレピやシンセが鳴る。エレピを駆使してのフレーズの弾き回しも印象的。
後半に進むに従って、エレピの使用の割合が多くなる。ルイーズはアコピについても、その弾きっぷりは「第一級」でアコピとエレピの対比が実に印象的。この盤、本当にジャズ・キーボード好きには堪らない内容に仕上がっていて、思わず「こんなアルバムあったんや」と唸ってしまった。当然、現在、バーチャル音楽喫茶『松和』ではヘビロテ状態である。
東日本大震災から8年1ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« パティトゥッチのベースが凄い | トップページ | ジャズ喫茶で流したい・147 »
コメント