ジャズ・トロンボーンの第一人者
初夏の季節にジャズ・トロンボーンの音が良く似合う。ということで、この初夏の季節にジャズ・トロンボーン盤を聴きまくっている私こと「松和のマスター」。ホンワカ、ホノボノなトロンボーンの音色。それでいて、速いアドリブ・フレーズもいける。しかも魅惑的な低音の響きが堪らない。
そんなジャズ・トロンボーン、ジャズ入門書やジャズ盤紹介本で真っ先に出てくるジャズマンの名前が「J.J.Johnson(略してJ.J.)」。ジャズ・トロンボーンと言えば「J.J.ジョンソン」が最高のトロンボーン奏者と言うのが定番。J.J.は1924年生まれ。2001年に77歳で他界。スイング時代から頭角を現し、特に1950年代、ビ・バップ〜ハードバップ期に活躍。その「光速フレージング」がJ.J.の代名詞で、わざわざジャケット上に「バルブトロンボーンに非ず」との注記まで付けられた位である。
活動期間は1966年から77年までの11年間のブランクを挟んで、大きく前後半の2つに分かれる。しかし、前後半どちらの活動時期でも、J.J.のブロウ・スタイルは「ビ・バップ」。速いフレーズも緩やかなフレーズも、どちらも明かな「ビ・バップ」の音色がする。J.J.はバップなトロンボーンから発展することも、変化することも無かった。J.J.は、バップなトロボーンを深く深く掘り下げた。そして、トロボーン奏者の第一人者となった。
J.J.Johnson『Quintergy』(写真左)。1988年7月、NYのVillage Vanguardでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、J. J. Johnson (tb), Ralph Moore (ts), Stanley Cowell (p), Rufus Reid (b), Victor Lewis (ds)。20年以上も西海岸でスタジオ・ワークに勤しんでいたJ.J.が、久々にVillage Vanguardに出演、本格的なジャズ活動を再開した瞬間を捉えたライブ盤である。
J.J.のトロンボーンとムーアのテナーの2管フロント。バックはカウエルのピアノにリードのベース、ルイスのドラムという、ネオ・ハードバップの音色が芳しい、職人芸なリズム・セクション。J.J.以外はネオ・ハードバップ期に現れた、次世代を担うであろう若手ジャズメンで、そんな新しい響きのするリズム・セクションを従えながら、J.J.は明らかに「バップ」なトロンボーンを吹きまくっている。
このジャズ・トロンボーン盤はアレンジやアンサンブルを楽しむものでは無く、明らかにJ.J.のトロボーンだけを可能な限り堪能することがメインの「J.J.のJ.J.によるJ.J.の為の」ライブ盤である。マイルスのモードな名曲「Nefertiti」などもピックアップ、モーダルな音色にチャレンジしている。当時64歳とは思えない、新しい感覚のジャズ・トロンボーンにも取り組んでいて立派だ。
東日本大震災から8年2ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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