見た目で判断したら駄目です。
ブルーノート・レーベルの4300番台は、1968年〜1972年の間のリリースなので、ジャズのポップス化の影響をモロに受けた時代。よって、4300番台のアルバムは、聴き易さ、ポップさを前面に押し出したプロデュースがなされていたように思う。ジャズらしい尖った要素は基本的に横に置いておいて、とにかく聴き易さ優先。
Horace Silver『You Gotta Take a Little Love』(写真左)。1969年1月の録音。ブルーノート・レーベルの4309番。ちなみにパーソネルは、Horace Silver (p), Randy Brecker (tp, flh), Bennie Maupin (ts, fl), John Williams (b), Billy Cobham (ds)。往年のフロントである、Blue Mitchell (tp), Junior Cook (ts) は既にいない。
今の目で見ると、凄いフロントである。かのブレッカー・ブラザースで一世を風靡するランディ・ブレッカーのトランペットに、マイルスやハンコックのバンドで活躍したベニー・モウピンのテナー。そこに、なんとドラムに、クロスオーバー・ジャズの雄、千手観音ドラミングで勇名を馳せたビリー・コブハム。これだけのサイドメンであれば、尖ったクロスオーバー・ジャズが炸裂しそうだが、この盤ではそうならない。
なんせリーダーが、ファンキー・ジャズの親玉、ホレス・シルバーである。尖ったクロスオーバー・ジャズなぞ、とんでもない。明らかに明確な、シルバー節満載のファンキー・ジャズが展開されている。ランディもモウピンもポジティブに神妙にファンキー・ジャズをやっている。しかし、これが「味があって良い」。やはり、ジャズの基本はハードバップなんやなあ、と妙に感心させられる。
コブハムのドラミングも千手観音ドラミングを封印して、オーソドックスなファンキー・ドラミングをやっており、これがまた、しっかりとファンキー・ジャズに「はまっている」。上手いんだなあ、これが。ということで、ブルーノートのホレス・シルバーらしいファンキー・ジャズ盤に仕上がっている。しかも、かなりポップな仕上がりになっているところが、時代背景を反映しているようで面白い。
しかしなあ、このアルバム・ジャケットだけがなあ。およそ従来のブルーノートの仕事とは思えない、思いっきりイラっとさせるジャケット・ワーク。これがまた、ブルーノートの4300番台の仕業でもある。でも、この盤のシルバー節満載のファンキー・ジャズは良い感じ。このギャップもまたブルーノートの4300番台の仕業でもある。いわゆる「見た目で判断したら駄目」な盤が多いので要注意である。
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この時代、なさけないほどジャケがひどいですね。
寺島靖国さんが、どこかで書いてましたが
CDの表紙の写真があまりにもひどい場合に、良い写真は2ページ以降にあることが多いと。
ブックレットを折り返して入れ直したりしてます。
欠点はオリジナルを忘れて、重複して買いそうになることですね。
(笑)
投稿: MRCP | 2019年5月14日 (火曜日) 10時06分