ロシア出身のジャズ・ピアニスト
欧州ジャズのことを熟々と考えていて、第一にイタリア、そして英国、ドイツのジャズ、最近ではイスラエル、そしてポーランドのジャズが流行になってきている、と書いたが、そうそうロシアを忘れていた、と思った。ロシア出身のジャズメンも実は沢山いるんですね。忘れてました。そうそう、ロシアって、欧州で元々ジャズが盛んな国のひとつでした。
Eugene Maslov『When I Need to Smile』(写真左)。 1999年のリリース。ちなみにパーソネルは、Eugene Maslov (p), Eddie Gomez (b), Omar Hakim (ds)。ユージン・マスロフ(Eugene Maslov)。ロシアのサンクトペテルブルク出身のジャズ・ピアニストである。バックにジャズ・ベーシストのレジェンド、エディ・ゴメスとポリリズミックなドラマー、オマー・ハキムが控えています。
ユージン・マスロフは1959年生まれ。今年で満60歳、還暦になるベテラン・ピアニスト。「ムソルグスキー音楽カレッジ」でクラシック・ピアノを学んでいる。が、後にジャズ・ピアノに転身。1989年には米国に移住。現在ではマサチューセッツ州ボストンを拠点に活動している、ということである。ロシア出身の米国在住のジャズ・ピアニストである。
出てくる音は明確に欧州ジャズの音。バックにゴメス、ハキムという米国ジャズのベテラン・ジャズメンを起用しているにも拘わらず、出てくることは「欧州ジャズ」。つまり、マスロフのピアノが明らかに欧州ジャズの特質を多く保有しており、バックの米国ジャズの二人は、二人の持つ高テクニックを駆使して、欧州ジャズの雰囲気に忠実に追従しているからだ、と認識している。
耽美的で「クールな熱さ」が第一の個性。透明感とダイナミズムに溢れ、幽玄な音の広がりとクラシック仕込みの明確で硬質なタッチが「欧州ジャズ」の雰囲気を増幅する。紡ぎ出されるフレーズは流麗。演奏全体の雰囲気は「ネオ・ハードバップ」。クールな熱気溢れるジャズ・ピアノがバップ風に飛翔し、バップ調のアドリブ・フレーズを繰り出している。
マスロフのオリジナル曲はポジティブなバップ調で、聴いていて思わず活き活きとしてくる。スタンダード曲はそれぞれ、実にユニークなアレンジが施されており、ネオ・ハードバップのお手本の様な音世界が展開されている。「The Man I Love」から「Dindi」〜「Milestones」の流れには惚れ惚れします。好盤です。
東日本大震災から8年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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