スピリチュアルなオルガン・ジャズ
オルガン・ジャズが好きである。もともと子供の頃から、オルガンの音、いわゆる「ハモンド・オルガン」の切れ味良く、ちょっとノイジーでくぐもった様な音が好きで、そんなハモンド・オルガンの音さえ聴こえていたら、それだけで心地良い。オルガン・ジャズの場合、そんなハモンド・オルガンの音が、基本4ビートに乗って、アドリブ・フレーズを展開するのだ。これは僕にとっては堪らない。
今年の新盤を眺めていたら、Joey Defrancesco(ジョーイ・デフランチェスコ)の新盤が目についた。ジョーイは1971年生まれなので、今年で48歳。ジャズ界でいけば、まだまだ若い。バリバリの中堅である。風貌から僕はとっくに50歳は過ぎていたと思っていたので、今回、ジョーイのバイオグラフィーを押さえていて、ちょっとビックリした。マイルス晩年のバンドにも一時期参加していたほどで、ジョーイのオルガン・プレイはアグレッシブでテクニック優秀。
Joey Defrancesco『In the Key of the Universe』(写真左)。今年3月のリリース。出来たてホヤホヤである。ちなみにパーソネルは、Joey Defrancesco (org,key,tp), Pharoah Sanders (ts,vo), Troy Roberts (sax,b), Billy Hart (ds), Sammy Figueoa (per)。オルガンはベースのラインを担当することが出来るので、この盤ではベースがいない。オルガン、ドラムにフロントがテナーという、オルガン・ジャズの基本的構成である。そうそう、この盤ではジョーイはマルチ奏者ぶりを発揮していて、オルガンの他にシンセ、トランペットも担当している。
ジョーイのオルガンは相変わらず、アグレッシブでテクニック優秀。弾き過ぎず、テクニックに頼ること無く、余裕を持った大らかなオルガンをこの盤でも弾きまくっている。聴いていて「あ〜良い感じ。これって、ジョーイだよね」と思う。で、この盤ではリーダーのジョーイのオルガンよりも、テナーの音の方が目立っている。ぐいぐい主張する力感溢れるテナー。誰だ、と思ってパーソネルを見たら、なんと「ファラオ・サンダース」。
そう言えばこの盤、冒頭の「Inner Being」から、スピリチュアル・ジャズの雰囲気は色濃く漂っている。それも今、ジャズ界で流行っている「穏やかでメロディアスな耳当たりの良い」スピリチュアル・ジャズの印象である。ファラオのテナーは「元祖スピリチュアル・ジャズ」なテナー。この盤でもその存在は大きく、ファラオのテナーがこの盤のスピリチュアル・ジャズっぽさを決定付けている。新しい今様のジャズの響きが心地良い。
スピリチュアルなオルガン、テナーを支え、リズム&ビートをコントロールする、ビリー・ハートのドラムの存在も見逃すことは出来ない。趣味の良い、チェンジ・オブ・ペース的なドラミングは柔軟度抜群。演奏全体の音のフレームをグッと締めている。「ジャズの今」を感じる、コンテンポラリーな純ジャズ盤として、なかなかの内容だと思います。好盤です。
東日本大震災から8年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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