意外とモード・ジャズの好盤です
ブルーノート・レーベルでのエルヴィン・ジョーンズとマッコイ・タイナーの録音を聴いていると、インパルス・レーベルに移籍したばかりの頃のコルトレーン・カルテットの音世界が一番良かったと思っていたのではないか。あの頃の演奏が、一番やりたかった演奏ではないのか、と思う。
Elvin Jones『The Ultimate』(写真左)。1968年9月6日の録音。ブルノートの4305番。ちなみにパーソネルは、Elvin Jones (ds), Joe Farrell (ts, ss, fl), Jimmy Garrison (b)。サックスがフロントのピアノレスの変則トリオ編成。サックスは、当時、新進気鋭のジョー・ファレルが担当している。
この盤ではピアノレスで録音している。この盤の演奏を聴けば判るが、この盤の演奏にピッタリ合ったピアノは、当時唯一、マッコイ・タイナーのピアノだけだったと思うのだが、タイナーを採用すると、明らかにコルトレーン・カルテットの音世界に酷似する可能性がある。であれば、ピアノをオミットしたのは正解だろう。
エルヴィンはビートが効いた、ポリリズムの化身の様なドラミングが身上。ピアノは無くても、ベースのウォーキング・ラインさえあれば、十分にフロントの楽器を支え、鼓舞することが出来る。この盤に詰まった演奏は、一言でいうと「インパルス・レーベルに移籍したばかりの頃の、モーダルで自由度の高いコルトレーン・カルテット」の音である。上質のモード・ジャズ。
ギャリソンのベースは、モード・ジャズを支える上で、打って付けのウォーキング・ラインを弾き進める。明らかに「モーダル・コルトレーン」仕込みのベース・ライン。フロントのサックスに限りなく自由度を与えながら、しっかりと演奏の底をしっかりと支えている。聴けば、フロントのファレルがとても気持ち良いサックスを吹いている様に感じる。
当時31歳のファレルは若々しくエモーショナルなサックスを吹き上げる。限りなく自由奔放に吹きまくるファレル。コルトレーンをちょっとジェントルに、ちょっと柔和にした様なモーダルなサックスが、エルヴィンのポリリズムとギャリソンのゴリゴリベースに見守られながら、限りなく自由度高く乱舞する。モード・ジャズの好盤である。
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