こんなアルバムあったんや・111
1960年代以降、ジャズ・テナーの世界で「コルトレーン」は絶対的存在だった。とにかく、ジャズ界はサックスを持つ者、猫も杓子も「コルトレーン・スタイル」を追いかけた。す〜ッと伸びたストレートなブロウ、アドリブではコルトレーン・スタイルの代名詞「シーツ・オブ・サウンド」を駆使、嘶くようなフリーキーなブロウ。サックス奏者であれば、当時は皆がそうだった。
John Handy『New View!』(写真左)。1967年6月28日、NYのVillage Gateでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、John Handy (as), Bobby Hutcherson (vib), Pat Martino (g), Albert Stinson (b), Doug Sides (ds)。アルト・サックスがフロントのクインテットだが、ハッチャーソンのヴァイブ、マルティーノのギターが入っている。定番のピアノが入っていない。ちょっと「変則な」クインテットである。
リーダーのジョン・ハンディは1933年生まれ。今年で25歳の頃から、チャールス・ミンガスのグループで演奏。1959年に自己のグループを結成以来、1996年辺りまでリーダー作をコンスタントにリリース、ジャズ・アルトサックスの中堅として活躍してきた。しかし、我が国では全く以てメジャーな存在では無い。僕はこの『New View!』というリーダー作でしか、彼の名前を覚えていないくらいだ。逆にこの『New View!』というアルバムはとても良い内容のライブ盤なので、今でもたまに聴いている。
ジョン・ハンディは1965年のモンタレー・ジャズ・フェスティバルで話題を一人占めした、とある。確かにこの人のアルト・サックスは音が良い。明らかにコルトレーンのフォロワーなんだが、コルトレーンよりも流麗でシュッと伸びた、濁りの無いブロウが個性。アルト・サックスならではの「音の明るさ」も良い方向に作用している。このライブ盤でも、このジョン・ハンディのアルト・サックスの個性的な音が満載で聴き応えがある。
「Naima」と「A Little Quiet」「Tears of Ole Miss」の3曲のみの収録曲だが、後者2曲が明らかに「コルトレーン・スタイル」のフォロワーな演奏なんだが、冒頭の「Naima」だけが静的で耽美的。ブロウもコルトレーンのフォローな雰囲気はあまり感じられず、このバラード演奏の吹きっぷりにこそ、ハンディならではの個性を強く感じるのは僕だけだろうか。ハッチャーソンの耽美的なヴァイブとフロントを分け合って、美しい響きのバラード演奏についつい惹き込まれる。
特に、LP時代のB面の全てを占める長編の「Tears of Ole Miss」は、コルトレーン派の面目躍如的なブロウで、ライブならではの白熱のプレイを聴くことが出来ます。ジャケ写真の穏やかに微笑むハンディもタイポグラフィーと相まって良好。ジョン・ハンディのこのライブ盤を聴き直して、ハンディの他のリーダー作も聴いてみたくなりました。
東日本大震災から8年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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