コンセルトヘボウのジャズオケ
現代のジャズ・オーケストラについては、まず浮かぶ名前が、Jazz at Lincoln Center(略称JALC)の常設オーケストラである、ウィントン・マルサリスが率いる、ジャズ・アット・リンカーン・センター・オーケストラ(Jazz at Lincoln Center Orchestra = JLCO)。世界の常設ジャズ・オーケストラのトップに君臨している。そして、そのJLCOに匹敵するジャズ・オーケストラがもう一つある。
「オランダの最もスインギーなビッグバンド」と称されるジャズ・オーケストラ・オブ・ザ・コンセルトヘボウ(Jazz Orchestra of the Concertgebouw = JOC)である。このJOCも常設のジャズ・オーケストラとして活躍している。1996年の設立、1999年、オランダのアムステルダムにあるコンサートホール、コンセルトヘボウの計らいで「ジャズ・オーケストラ・オブ・ザ・コンセルトヘボウ」を名乗ることになる。
NYのJLCOがジャズの歴史的な演奏をしっかり抑えた、伝統的なジャズオケだとすると、オランダのJOCは先進的なチャレンジを得意とするコンテンポラリーなジャズオケだと言える。どちらも持ち味が違うので単純な比較は出来ない。ということで、このJLCOとJOCが現代のジャズ・オーケストラの双璧と言えるだろう。
JOCについて、最近聴いた盤がこれ。Jazz Orchestra of the Concertgebouw『I Didn't Know What Time It Was』(写真左)。2018年10月のリリース。 february 25th, 2010年2月25日、アムステルダムのBimhuisでのライブ演奏で、ラジオ放送の音源からのアルバム化。ジャズ・オルガンの生けるレジェンド、ドクター・ロニー・スミスをフィーチャーした演奏集である。
JOCのダイナミズム溢れるジャズオケならではのゴージャスなユニゾン&ハーモニーに、アーシーでソウルフル、ファンクネス溢れつつエッジの立った切れ味の良いオルガンのドラマティックなフレーズが効果的に絡む。オルガンに引き摺られてファンキーな雰囲気に偏ること無く、ジャジーなオルガンをジャズオケの重要な構成要素として取り込んだイメージのソウルフルなジャズオケの演奏が思いっきりダイナミックに展開される。
これが伝統的なハードバップに似た響きを振り撒いていて、ジャズオケにオルガンというユニークな組合せながら、正統なネオ・ハードバップなジャズ・オーケストラとして成立しているのだから面白い。決して懐古趣味では無い、現代のネオ・ハードバップな響きが先進性を強烈にアピールする。演奏自体は自然体で変に捻れたり、ギミックを感じたりすることは全く無い。現代のジャズ・オーケストラの良き演奏がこの盤に詰まっている。
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