ソウル・ジャズの基本盤の一枚
僕がジャズを聴き始めたのは、今から40年前。1978年から本格的にジャズ盤を集集し始めた訳だが、その頃、ジャズについては、フュージョン・ジャズの大ブームの真っ只中。加えて、ハービー・ハンコックの「V.S.O.P」クインテットが切っ掛けとなって、純ジャズが見直され始めていた。
逆に、ジャズの中でもポップな方向に発展した「ソウル・ジャズ」や「ジャズ・ファンク」は忘れ去られていった。特に我が国では、「ソウル・ジャズ」や「ジャズ・ファンク」は俗っぽさの象徴として、硬派なジャズ者の方々から毛嫌いされた。しかも、である。当時の我が国はこの「硬派なジャズ者の方々」が多いことから、この「ソウル・ジャズ」や「ジャズ・ファンク」のアルバムはレコード屋の店頭に並ぶことは無かった。
しかし、もともとR&Bやソウル・ミュージックが好きな僕は、この「ソウル・ジャズ」や「ジャズ・ファンク」がお気に入りのジャズ・スタイルの1つ。この「ソウル・ジャズ」や「ジャズ・ファンク」のCD復刻がなったのは、1990年代半ば以降と記憶している。そして、21世紀に入って、この10年でやっと、「ソウル・ジャズ」や「ジャズ・ファンク」の基本盤はあらかたCDリイシューされた。
Valerie Capers『Portrait In Soul』(写真左)。1966年のリリース。盲目の黒人女流ピアニスト、ヴァレリー・ケイパースのリーダー作である。ちなみにパーソネルは、Valerie Capers (p), Vincent McEwen (tp), Robin Kenyatta (as), Frank Perowsky (ts), John Daley (b), Richy Landrum (conga, ds), Chrly Hawkins (ds)。アルバムの基本的な雰囲気は「ソウル・ジャズ」。
冒頭の「Little David Swing」などは、ゴスペル調の雰囲気が漂う、高速テンポのソウル・ジャズだが、例えば、5曲目の「Odyssey」などは疾走感溢れるモード・ジャズである。ケイバースのピアノは切れ味が良く真摯なタッチ。決して安易にポップに傾かず、過度なファンクネスを戒めている。アルバム全体を覆うストイックさが故、この盤には俗っぽさよりもどこかアーティスティックな雰囲気が漂う。
僕はこの盤を21世紀になってから知りました。この盤はソウル・ジャズの要素とジャズ・ファンクの要素をモード・ジャズに融合した様な雰囲気で実にユニーク。ソウル・ジャズの基本盤の一枚として、是非聴いて頂きたいアルバムです。ブラック・ミュージックな雰囲気が濃厚で、これもジャズやなあ、と改めて感心してしまいます。
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