« ジャズ喫茶で流したい・142 | トップページ | ECMの中では異質な内容だけど »

2019年3月15日 (金曜日)

ブルーノートの「純ジャズ復古」

ブルーノート・レーベルは、ジャズ界最大のジャズ・レーベル。ブルーノートのカタログには幾つかのシリーズがある。一番有名なのが、1500番台、4000番台など、カタログ番号を基本としたシリーズ。それから、カタログの分類記号を基本としたシリーズ。例えば「BN-LA」シリーズや「LT」シリーズがそれに当たる。どれもが好盤のオンパレードで、どのシリーズを聴いても、ジャズの醍醐味が味わえるところがブルーノート・レーベルの凄いところである。

そんなブルーノート・レーベルのシリーズの中で「85100」シリーズというのがある。1985年から1987年まで、僅か3年のシリーズで41枚の短期間のシリーズであった。しかし、このシリーズ、ちょうど1980年代半ばからの「純ジャズ復古」のムーヴメントの時代にリリースされたシリーズなのだ。どのアルバムも「純ジャズ復古」や「初期ネオ・ハードバップ」な雰囲気の演奏が詰まっていて、実は意外となかなか面白いシリーズなのだ。

Kenny Burrell & Grover Washington Jr.『Togethering』(写真左)。1984年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Grover Washington Jr. (ts, ss), Kenny Burrell (g), Ron Carter (b), Jack DeJohnette (ds)。Blue Note 85100シリーズの BT 85106番。ワシントンJr.はこの録音の2年前に、アルバム『Winelight』でヒットを飛ばしている。
 

Togethering

 
ワシントンJr.のアルバム『Winelight』は、典型的なフュージョン・ジャズの好盤。ソフト&メロウな雰囲気と電気楽器を活用した8ビート主体の演奏は当時、受けに受けた。そんなフュージョン・ジャズのサックス奏者のワシントンJr.がフロントを担当するこのアルバム、僕は最初、フュージョン・ジャズのアルバムだと思った。が、聴いてみたら、新しい雰囲気のする、ライトなハードバップな演奏がギッシリ詰まっているではないか。

ロンのベースは往年のモードライクなベース。デジョネットのドラムは新しい感覚のポリリズム(この頃、デジョネットはキースと「スタンダーズ」を結成している)。ギターのバレルは明らかに新しい感覚のハードバップなギター。旧来のハードバップのギターをフュージョン・ジャズの手法で焼き直した雰囲気が聴いていて実に新しい。そして、ワシントンJr.のサックスも、聴き易いフュージョン・テナーの良い部分を踏襲した新しい感覚のハードバップなサックス。

全編に渡って、なかなか聴き応えのあるネオ・ハードバップな演奏です。これが1984年の録音。フュージョン・ジャズが衰退を始めて、純ジャズが見直され始めた頃。そんな微妙な時期に「純ジャズ復古」を先取りした様な、新しい感覚のハードバップな演奏。さすがブルーノート・レーベルだな、と感心することしきり。
 
 

★東日本大震災から8年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« ジャズ喫茶で流したい・142 | トップページ | ECMの中では異質な内容だけど »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ブルーノートの「純ジャズ復古」:

« ジャズ喫茶で流したい・142 | トップページ | ECMの中では異質な内容だけど »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー