英国ハードバップの入門盤です
英国のジャズは面白い。まず、英国のジャズについては、ロックとの境界線が曖昧。ジャズメンと思ったらロックをやっていたり、ロッカーと思っていたらジャズをやっていたりで、よくよくパーソネルを確認しないといけない。そして、英国ジャズについては、「ビ・バップ」の演奏が最高とされる。ハードバップやモードなんか「目じゃない」。ビ・バップ至上主義である。
Tubby Hayes『Down In the Village』(写真左)。1962年5月17ー18日、ロンドンのThe Ronnie Scott Clubでのライブ録音。ちなみにパーソネルは、Tubby Hayes (ts, ss, vib), Freddy Logan (b), Allan Ganley (ds), Gordon Beck (p), Jimmy Deuchar (tp)。リーダーのタビー・ヘイズのテナーとドーチャーのトランペットの2管フロントのクインテット構成。
タビー・ヘイズは英国ロンドン出身のジャズ・テナー奏者でヴァイブも演奏出来る。1935年生まれで、1973年に38歳の若さで鬼籍に入っている。ヘイズは、リーダー作を聴けば判るが、中肉中背な印象ではあるが、パワフルかつ流麗な吹き回しが見事なテナー奏者である。そのテクニックは高く、アドリブ・ラインのイメージは「ビ・バップ」そのもの。そういう意味では英国ジャズ者好みのテナー奏者だと言える。
吹きっぷりは「ビ・バップ」だが、演奏の組み立て、展開は「ハードバップ」そのもの。1962年といえば、米国ジャズはファンキー・ジャズが大流行していた時代であるが、ここ英国ロンドンでは、そんなファンキー・ジャズなど何処吹く風。質実剛健、硬派絢爛なハードバップをやっている。しかし、アドリブの部分だけ聴くと、雰囲気はまさに「ビ・バップ」。
ゴードン・ベックのピアノがタッチが明確で美しい響き。硬派でバイタルなヘイズのテナーと好対照で、陰影のある力強い音が魅力。ヘイズのソプラノ・サックスもなかなか良い響きで、良い音出してます。演奏全体のスイング感も抜群で、ローガンのベース、ガンリーのドラムスの両者の実力の程が知れます。
ジミー・デューカーの分厚いトランペットがヘイズの硬派なテナーと相まって、演奏が熱くドライブします。ライブ演奏の生々しさが伝わる録音も良好で、英国ジャズの個性が良く判ります。そうそう、ヘイズのヴァイブもなかなかの腕前で、このヴァイブも思いっきり「ビ・バップ」な弾き回してしていて、何となく微笑ましいです。英国ハードバップを理解する上で、絶対に外せない好ライブ盤です。
東日本大震災から7年10ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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