JLCOのジョン・ルイス作品集
リンカーン・センターは、ニューヨークのアッパー・ウエスト・サイドにある総合芸術施設。そのセンターの1部門が「Jazz at Lincoln Center(略称JALC)」。JALCの芸術監督はウィントン・マルサリス。このウィントンが率いるジャズ・オーケストラが「Jazz at Lincoln Center Orchestra(JLCO)」。JALCの常設オーケストラである。ウィントンが主宰するジャズ・オーケストラなので、設定されるテーマは真面目そのもの。
そう言えば、最近、ウィントンの新作を見なくなった。いつの頃からか、ブルーノート・レーベルからの新作のリリースが途絶え、マイナー・レーベルから何枚かリリースしている。逆に、ウィントンが出演するアルバムはJLCOものが半数以上を占めるようになる。つまり、21世紀に入ってからは、ウィントンを聴くなら「JLCOもの」は外せない、という状況になっている。
Jazz at Lincoln Center Orchestra『The Music of John Lewis』(写真左)。今回、なかなか楽しめたJLCOものがこれ。2013年1月19日の録音。モダン・ジャズ・カルテット(MJQ)のピアニストであり、音楽監督でリーダーでもあるジョン・ルイスの作品集。ジョン・ルイスはクラシックに根ざした音楽理論をジャズに持ち込んだりして、ちょっとアカデミックなところがあるんだが、作曲家としてはなかなか印象的な曲を沢山書いている。
そんなジョン・ルイス作の名曲の数々を、ウィントン・マルサリス率いる名門JLCOがスモールコンボ編成からビッグバンド・スタイルまで様々なフォーマットで演奏している。これが聴きもの。全編に渡ってアレンジがふるっている。演奏の編成ごとに最適なアレンジが施されていて、曲毎に明確な変化があって聴いていて楽しい。ジャズならではのアレンジの多彩さを存分に楽しむ事が出来る。
このアルバムでも、ウィントンのトランペットは申し分無い。非の打ち所が無くて逆に印象に残りにくいのが玉に瑕ではある。逆に、ニューオリンズのジャズピアニスト、ジョナサン・バティストをフィーチャーした演奏の数々は印象に強く残る。ジョン・ルイスの曲のフレーズが米国南部のルーツ色豊かなジャズ・ピアノにぴったり合うとは、ちょっとビックリである。
ジョン・ルイス作の楽曲を判り易くポップにアレンジして、オーケストラで演奏するなんて発想がユニークですね。そんなユニークな発想を、ジャズとして先端をいく「ネオ・ハードバップ」な演奏に昇華しているところはJLCOのポテンシャルの高さを物語っています。ジョン・ルイス作の楽曲のフレーズを楽しむも良し、ジャズ・オーケストラの変幻自在な演奏を楽しむも良し、この「JLCOもの」は、なかなかの内容です。
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