ジャズ喫茶で流したい・141
「ジャケ買い」という言葉があるが、この盤は僕にとってまさに「ジャケ買い」盤。このアルバムのリーダーであろう人物の、座った迫力のあるイラストが思いっきり目を引く。「Quintet」の文字でこの盤はジャズ盤だと想像出来る。とすると、この盤の内容って、意外と骨太で硬派でゴリゴリした純ジャズじゃないか、と思ったら、思わず手にしていた。
The Dave Bailey Quintet『Two Feet in The Gutter』(写真左)。1961年10月6日、NYでの録音。ちなみにパーソネルは、Ben Tucker (b), Dave Bailey (ds), Billy Gardner (p), Frank Haynes (ts), Bill Hardman (tp)。パーソネルを見渡すと、決して、当時のスター・プレイヤーではないのだが、当時の中堅どころが大集合。
冒頭の「Comin' Home Baby」は、ベースのベン・タッカーの曲。元ジャズ・メッセンジャーズのトランペッター、ビル・ハードマンで軽快にスタート。フランク・ヘインズの雰囲気あるテナーも良い感じ。リーダーのデイブ・ベイリーのドラムが、演奏のリズム&ビートをさりげなくビシッと決めて、ああ、雰囲気のある踊れるハードバップではないか。
デイブ・ベイリー。1926年2月の生まれ。米国ヴァージニア州出身。1950年代に入って、ハードバップ初期の頃より、頭角を現し、様々な一流ジャズメンとの共演を果たしている。1954〜68年まで、14年間、ジェリー・マリガンのグループで活躍しましたが、惜しくも1969年、ジャズ界より引退。1973年からニューヨークで音楽教育に携わっていますが、主だった活動はしていません。
彼のドラミングは、派手さは全く無いのですが、堅実で職人肌の「粋」なドラミング。この『Two Feet in The Gutter』でも、全編に渡って、良質で洗練されたハードバップを聴かせてくれていますが、もちろん、リーダーのデイブ・ベイリーのドラミングに依るところが大きいですね。これだけ、ドラミングが演奏全体の雰囲気をコントロールしているアルバムはあまりないのではないか、と思います。
ハービー・マンやメル・トーメ等でもおなじみのダンス・ジャズ・クラシックな曲を渋く、粋に演奏しているところが堪らない。ベン・タッカーのベースがさりげなくブンブン響いて、ベイリーの小粋なドラミングと相まって、とてもジャジーでハードバップなグルーヴ感を醸し出しています。あまり、ジャズ紹介本などではそのタイトルが挙がらない盤ですが、ハードバップ後期の隠れ好盤でしょう。
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