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2019年1月16日 (水曜日)

ECMの音の「てんこ盛り」です

ECMレーベルのアルバムの聴き直し。1970年代のECMレーベルには専属のジャズメンが多くいる。米国のジャズ盤には一切顔を出さない。とにかくECMレーベルオンリー。例えば、ギターのラルフ・タウナーやテリエ・リピダル、テナーのヤン・ガルバレク、ベースのエバーハルト・ウェーバーやパレ・ダニエルソン、ドラムのヤン・クリステンセン等々、挙げれば切りが無い。この辺が、ECMレーベルは欧州ジャズを代表するレーベルと評価される所以である。

特に、1970年代の北欧の優秀どころはほぼECMレーベルに所属していたと言って間違い無い。このECMレーベル専属のジャズメン達が、こぞって、ECMレーベルをイメージさせる音世界を表現するのだから凄い。ECMの総帥、マンフレート・アイヒャーのプロデュース能力も卓越しているが、その意向にしっかりと沿いながら、自らの個性的な表現をやってのける専属ジャズメン達も凄い。そこに、ECMレーベル独特の深いエコーがかかる。ECMレーベルの音の出来上がりである。

Ralph Towner『Solstice』(写真)。ECM1060番。1974年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Jan Garbarek (ts,fl), Ralph Towner (g, p), Eberhard Weber (b,cello), Jon Christensen (ds,perc)。ギターのラルフ・タウナーがピアノも担当している。しかしまあ、ECMレーベル専属ミュージシャンでガッチリ固められたパーソネルである。なんか聴く前から出てくる音が想像できる。ECMレーベル好きにとってはワクワクするパーソネルである。
 

Solstice

 
ラルフ・タウナーのギターって、とってもECMレーベルらしい音をしている。クラシックの様でその即興性はジャズそのもの。でも、タウナーのギターって気の毒で、ソロでやれば、テクニックはあるが「クラシックとは弾き方が違う」とか「ジャジーでは無い」と揶揄される。即興演奏の妙は遺憾なく発揮されているにもかかわらず、である。まあ、タウナーのギターをジャズだのクラシックだの既成の音楽ジャンルに括り付けようとすること自体、無理がある。

デューク・エリントンの「この世の中には良い音楽と悪い音楽の2種類しかない」という言葉を思い出す。この盤でのタウナーのギターは「良い音楽」だと僕は解釈している。このタウナーのギターに、ウエーバーのベースとクリステンセンのドラムがバックにつけば、たちどころにジャズっぽさ濃厚となるのだから、音楽って面白い。そして、フロントにガルバレクのテナーが座って、これまた、このガルバレクのテナーの音が、透明度高く伸びの良いメロディアスなもので、いかにもECMレーベルらしい音をしている。

ウエーバーのベースとクリステンセンのドラムは、明らかにECMレーベルお抱えのリズム・セクションの二人。ということで、ECMらしい音ってどんな音ですか、と問われれば、このアルバムを取り出す。それほど、この『Solstice』というアルバムの音って、全く以て「ECMレーベルの音」のてんこ盛りなのだ。
 
 
 
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Never_giveup_4

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