いかにも欧州的であり北欧的
ECMレーベルは欧州発の「ニュー・ジャズ」の宝庫。ECMレーベルのカタログには、本場米国のジャズとは趣が異なる、オフビートではあるがファンクネス皆無、透明度の高い硬質な音、深めでクリスタルなエコーが個性な「ニュー・ジャズ」が多く存在する。そして、本場米国では全く無名の、欧州ジャズならではのジャズメンが多くリーダー作をリリースしている。
Jan Garbarek with Bobo Stenson Quartet『Dansere』(写真左)。1975年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Jan Garbarek (sax), Bobo Stenson (p), Palle Danielsson (b), Jon Christensen (ds)。実にECMレーベルらしいパーソネル。リーダーでテナーのヤン・ガルバレクとドラムのヨン・クリステンセンはノルウェー、ピアノのボボ・ステンソンとベースのパレ・ダニエルソンはスウェーデン。ノルウェー出身とスウェーデン出身の混成カルテット。
いかにもECMレーベルらしい、いかにも北欧ジャズらしい響きの「ニュー・ジャズ」が展開される。まず、リーダーのヤン・ガルバレクのサックスが硬質で濁りの無い、シュッとしていて心地良い。こんなに硬質で真っ直ぐなテナーの音って欧州ジャズならでは、である。淀みの無いストレートな音。ゆったりと吹いているが、テクニックは非常に優れているのがとても良く判る。
ピアノのボボ・ステンソンもいかにも欧州的。ガルバレクのサックスと同様に、硬質で濁りの無い、シュッとしていて心地良いピアノ。クラシック・ピアノに通じる上品な響きもいかにも欧州的。このガルバレクのサックスとステンソンのピアノが織りなす「ニュー・ジャズ」な演奏の数々は、典型的なECMレーベルの音である。深めでクリスタルなエコーがとても心地良い。
典型的な北欧ジャズの音がここにある。適度なテンションの下、モーダルな展開から軽くフリーな展開へと自由度の高いアドリブ演奏が素晴らしい。どれだけテンションの高い演奏になっても、熱くなることは無い。汗が飛び散る様な「赤く」燃える演奏では決して無い。冷静にクールに「青白く」燃える炎の様な演奏。
一聴すればすぐにガルバレクだ、ステンソンだ、と判る個性的な音。一度聴いたら忘れられないほどの個性。僕はそんな北欧ジャズの音がお気に入り。ジャズを聴き始めた頃、ECMレーベルの音に出会って以来、ずっとお気に入りのジャズとして、ずっと追いかけているレーベルの音。いかにも欧州的、いかにも北欧的な音が実に愛おしい。
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