連弾によるジャズ・アンサンブル
今年もあと1週間を切った。来週の火曜日って、来年の元旦なんですよね。2018年、平成30年もあっと言う間だったなあ。今年のジャズ盤のヒヤリングを振り返ってみて、やっぱりジャズは深化しているなあ、と実感したし、静的で印象的なスピリチュアル・ジャズが浸透してきたなあ、とも感じた。様々な新人がデビューしてきたし、ジャズってまだまだ終わってないよな〜、と嬉しくもなった。
NIRA『Noxious Revival』(写真左)。このアルバムはダウンロード・サイトで試聴して「これは」と思って、思わず、いきなりフルアルバムを聴き通した。ピアノというか、キーボードの連弾である。うわ〜珍しい。しかも上手い。キーボードの連弾のジャズなんて、あまり聴いたことが無い。しかも日本人である。女性である。とても聴き応えのある連弾ジャズである。
エレクトロニカ+ユーロビート+フュージョン・ジャズ。この盤を一言で言うと、そんな音で溢れている。明らかに新しい響きである。しかも、キーボードの連弾である。無茶苦茶、個性的な演奏である。テーマ部のユニゾン&ハーモニーが連弾ならでは、の響きであり、それぞれが別々に担当するアドリブ部は、それぞれに個性があって面白い。
音の響き、フレーズの展開は時折「静的で印象的なスピリチュアル・ジャズ」と化す。連弾ピアノの音が実に印象的で、実にスピリチュアルなのだ。レトロチックで懐かしいような、もの寂しくもあり、暖かくもあり、とても印象的な、深いエコーを伴ったアコースティック・ピアノの音がとても心地良い。スピード感も爽快感も十分にあって、アルバム全編聴き終えると、なんだか清々しい気分になる。
漢字一文字で表された楽曲全10曲。「贈」「気」「羅」「母」「王」「吹」「漢」「飛」「震」「続 」。どの曲もこの漢字一文字から来るイメージが溢れ出ていて、聴いていてとても楽しい。感心したのは、連弾ピアノという特殊なフォーマットでありながら、全10曲、マンネリに陥らず、手癖フレーズの使い回しも無く、全く飽きが来ないこと。これって、この連弾デュオの高いテクニックと豊かな音楽性の成せる技なのであろう。
「Noxious Revival」は直訳する「有毒の蘇生」。ものものしいタイトルであるが、バンド名のNIRAは、藤崎姉妹(藤崎ふみ・藤崎しおり)がメイン。彼女らが奏でる、連弾による変拍子ジャズアンサンブル、は実に個性的。この独特の連弾ピアノでのジャズは、まだまだ色々なフォーマット、色々な楽曲に展開出来そうで、まだまだ、これからが楽しみです。要注目な新人です。
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