ユルユルのグルーヴ感が堪らない
ブルーノート・レーベルはジャズの基本レーベルのひとつ。ジャズの歴史の殆どを網羅するレーベルは、実はブルーノート・レーベルしかない。他のレーベルはジャズの歴史の部分部分をサポートする存在。ブルーノート・レーベルがジャズのレーベルの中で「No.1」とされる所以である。
そんなブルーノート・レーベルの約80年の歴史は決して平坦なものでは無かった。1979年に一旦活動を停止、1984年、EMIの傘下でジャス・レーベルとして復活。以降、ネオ・ハードバップから、それぞれの時代の最先端のジャズのアルバムをリリースし続けている。ブルーノート・レーベルの特徴は、その「それぞれの時代の最先端のジャズ」を記録してきたこと。時にはユニークな盤をリリースしていたりする。
特に1960年代後半からのジャズ・ファンク、1970年代「ニューノート」の異名で知られる70年代のフュージョンの時代にユニークな盤がてんこ盛りである。同時代のソウルやファンクとも共鳴する新しい感覚のブラック・ミュージックを積極的にアルバム化している。これが面白い。硬派なジャズ者の方々からすると「これはジャズではない」のだが、僕は「これもジャズ」と思っている。
Reuben Wilson『Set Us Free』(写真左)。1971年7月23日の録音。パーソネルは書かない。もうこの時代のジャズ・ファンクの盤になると、参加ジャズメンの名前は知らない名前ばかり。当時のスタジオ・ミュージシャン辺りが集結したイメージである。しかも、ジャズには無かった楽器も散見される。この盤ではハープが参加している。でも、ジックリ見渡せば、ベースにリチャード・デイヴィス、エレギにデヴィッド・スピノザが見える。
リーダーのリューベン・ウィルソンはオルガン奏者。ジミー・スミスばりの硬派なオルガン奏者では全く無い。正反対の「ユルユル」なオルガンである。しかし、この「ユルユル」が不思議なグルーヴを醸し出す。この不思議なグルーヴを、これまた「ユルユル」のエレギとサックスとコンガが増幅する。この独特の「ユルユル」のグルーヴ感が堪らない。
そこにファンクネスてんこ盛り。このファンクネスが心地よさを増幅する。女性コーラス・グループして、メロウさも増幅。「踊れる、グルーブ感がある」ものとして発掘され、再評価を受けた過去の楽曲である「レア・グルーヴ」。この盤も「レア・グルーヴ」。現代のクラブ・シーンでサンプリングされている。
東日本大震災から7年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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久しぶりにジョニミッチェルのシャドウズアンドライトが聴きたくなり、ジョニの最近の評判はどんなものかなと検索していてこの喫茶店に入り込みました。立派なお店です。
当方50代後半の兵庫県住人(学生時代までは福岡県)。マスターは私の2つ年上のようです。同じ年代をロックやジャズとともに過ごされたようですが、大きく違うのは私は楽器が弾けないしバンド経験もないことです。片手間に音楽を聴いており、音楽論や難しいことはわかりません。
姉の影響もあり中学生になって洋楽を聞き始めましたが高2まではビートルズ一辺倒。ビートルズ以外はロックではないと思い込んでいました。
しかし、高3の時、ハードロック、プログレファンの同級生、渋谷陽一の番組に出会い、それらの音楽も聴くようになりました。
ビートルズとプログレの架け橋となったアランホワイトやDボウイ、ブルースロックへの架け橋となったクラプトンやDメイソン、ジャズとの架け橋になったMブレッカー、Tスコット、Dスピノザの存在は大きかったです。どのような道でジャズや色んなロックに触手を広げていったかは想像できるかと思います。プログレ風であるとの記事を読みECMも聴いています。
Wリポートへはイエス、ブルフォード、ジェネシス、Cトンプソン&Aジョンソン ルートと、Jベック、Sクラーク、Cコリア、マイルスのルートからも接近し、なんというかロックシーン、ジャズシーンというのは意外と狭いなという感じです。
いろいろ聴いてはきていますが、まだまだ聴きつくしておらず(ものの本にある名盤百選の半分も聴いていないのではと思います)。ビッグネームでもまだ聴いていない作品もあります。経済的理由もありとてもすべてを聴くことはできませんが、もともと音楽ファンというのはいろいろ聴くというより偏った方面を掘り下げて聞く人が多いのではと思います。この先残された人生、若い時に聴けなかった作品を少しずつ聞いていく一方で、知らなかった作品も聴いていきたいと思っています。そんなとき、この喫茶店で紹介されるものは大変参考になります。そもそもジャズ喫茶というのは買えないレコードや新しい作品を聴きに行くところだったと思っています。
いい店見つけました。ありがとうございます。
投稿: 兵庫県からの来訪者 | 2018年10月 7日 (日曜日) 16時56分