« フィニアスの初リーダー作である | トップページ | ヒルの個性が渦巻いている »

2018年9月30日 (日曜日)

ボブの純ジャズ・トリオ盤です

ボブ・ジェームスと言えば、フュージョン・ジャズの大御所。1960年代後半、元々は前衛が入ったフリー・スタイルなジャズ・ピアニストであったが、1970年代に入って、ほどなくクロスオーバー・ジャズに転身。特にアレンジの才が開花し、クロスオーバー・ジャズのアレンジャー兼キーボード奏者として頭角を現す。1970年代後半には、押しも押されぬフュージョン・ジャズの第一人者となった。

ボブ・ジェームスはその後、1980年代から今に至るまで、フュージョン・ジャズの第一人者として活躍してきた。が、21世紀に入った辺りから、純ジャズに取り組み始めている。恐らく、原点回帰であろう。ボブ・ジェームスも今年で79歳。音楽人生の総決算として、純ジャズに取り組んでいるのだ、と想像している。

Bob James『Espresso』(写真左)。今年8月末のリリース。 ちなみにパーソネルは、Bob James (ac-p, el-p), Billy Kilson (ds), Michael Palazzolo (b)。バリバリ硬派なピアノ・トリオである。ボブ・ジェームスとしては、アコースティック・ピアノ(略して「アコピ」)がメインの純ジャズ系のピアノ・トリオとしては実績に乏しい。それでも1996年の『Straight Up』は素敵なピアノ・トリオ盤であった。
 

Espresso_bob_james

 
ボブ・ジェームスのアコピは「総合力」で勝負するタイプ。一聴しただけでは誰のアコピか判らない。アコピの響きが美しい、流麗で耽美的、それでいてタッチはしっかりしている、いわゆる「エバンス派」のアコピである。テクニックもあり、フレーズは端正。唯一、ボブ・ジェームスの個性かなと感じるのは、フュージョン盤でのアコピのソロに通じる、間を活かしたミッドテンポのフレーズとアコピの豊かな響き。

途中、エレクトリック・ピアノ(略して「エレピ」)を活かした、ハイブリッドなトリオ演奏があるのだが、エレピのトリオ演奏に先導されたアコピのソロは明らかに「ボブ・ジェームス」。さすがはフュージョン・ジャズの大御所。フュージョン系の伴奏をバックにすると、アコピの個性が露わになる。アコピだけだと強烈な個性は現れないんだが、エレピの伴奏をバックにすると、たちまち、アコピの個性が現れる。

アコピの純ジャズ・トリオ演奏としては及第点かな。アルバムに収録された楽曲それぞれのアレンジはやはり優秀で、アコピ演奏の「総合力」は高いものがある。お供のベースとドラムもその演奏力は高い。トータルでなかなか充実したトリオ演奏では無いでしょうか。もう少し、アルバム構成としてメリハリかテーマ性が欲しいです。そろそろ、純ジャズ路線の「渾身の一枚」を出して欲しいですね。それでも、この盤、好盤だと思います。

 
 

東日本大震災から7年6ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« フィニアスの初リーダー作である | トップページ | ヒルの個性が渦巻いている »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: ボブの純ジャズ・トリオ盤です:

« フィニアスの初リーダー作である | トップページ | ヒルの個性が渦巻いている »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー