テテ・モントリューの初期の傑作
ジャズの聴き始めて40年。それでもまだまだ、聴き込んでいないジャズメンはいる。たまたま聴く機会に恵まれなかったケースがある。リーダー作がなかなか再発されなかったり、CD化されなかったりで、そもそもアルバムが流通していないケース。このピアニストは、リーダー作がなかなか再発されなかったことで、計画的に聴き直しを進めことが出来なかった。
このピアニストのアルバムもそんな中のひとつ。まず、リーダー作が流通してない。まとめて聴き直したいなあ、と長年思ってきてが、なかなかそうはならない。これはもう駄目かなあ、と半ば諦めかけていたら、ダウンロード・サイトで、この人のリーダー作を相当数、見ることが出来る様になった。喜ばしいことである。
Tete Montoliu『Piano for Nuria』(写真左)。1968年の録音。ちなみにパーソネルは、Peter Trunk (b), Albert Heath (ds), Tete Montoliu (p)。スペインが輩出した盲目の天才ピアニスト、テテ・モントリューのMPS盤。ほぼ、デビュー盤に近い。いわゆる「メジャー・デビュー」盤である。
テテのピアノは一聴すると、セロニアス・モンクに似ていると感じる。しかし、モンクに比べて、音の飛び方がノーマルで、安定したスイング感がある。タッチは太い。高速な手捌きは無いが、堅実な手捌きで安定感が抜群。テテは1933年生まれだから、この盤を録音した時は35歳。若手から中堅に差し掛かる、ピアニストとして充実した時期。さすが堅実で安定感のあるピアノである。
本作ではスタンダード・ナンバーを弾きまくっていて、テテのピアノの特徴が良く判るのも、この盤の良さである。スタンダード・ナンバーを弾くにつけ、テテはスインガーなピアノではなく、モードな香りが漂う、当時としてモダンな、新しい響きがメインのピアノであることが良く判る。
モンクっぽくてモンクでは無い。独特の音の飛び方をするアドリブ・フレーズも含めて、テテのピアノの個性が満載である。そういう意味で、この盤はテテの初期の傑作の一枚でしょう。ジャケットは地味ですが、ジャズ・ピアノ好きなジャズ者の方々については、避けて通れない、聴き体験必須のピアノ・トリオ盤です。
★東日本大震災から7年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
« 仏のアコーディオン・ジャズです | トップページ | CTIレーベルからの純ジャズ盤 »
コメント