往年のマントラが甦った様な新作
ジャズの世界でも、複数人で構成されるボーカル・グループの存在については、そんなに数は多くない。パッと考えて、パッと浮かぶグループ名は、スイングル・シンガーズとマンハッタン・トランスファーくらいしか思い浮かばない。まあ、ジャズ・ボーカルは「ピン」でやるに十分で、グループでやる意味があまり無いことがその理由なんだろう。
マンハッタン・トランスファー(以下「マントラ」と略す)は大のお気に入りである。もともと、マントラのデビュー盤が1975年。FMで聴いて、一発でお気に入りになった。大学に入って、本格的にジャズを聴き始める中で、マントラのアルバムも幾枚か所有するようになる。『Extensions』『Mecca for Moderns』『Bodies and Souls』などがお気に入り盤である。
そんなマントラが今年の3月、9年ぶりの新アルバムをリリースした。マントラといえば、2014年にグループの創設者であったティム・ハウザーが亡くなり、同年にトリスト・カーレスが新たに加入。この新作は、2009年の『TKhe Chick Corea Songbook』以来、トリスト・カーレス新加入後、初のオリジナル・アルバムになる。
そのアルバムは、Manhattan Transfer『The Junction』(写真左)。リーダーのティム・ハウザーが逝去した後、マントラの音世界はどう変わったのか、興味津々でアルバムを聴く。するとまあ、マントラらしいダイナミックでフレッシュなコーラスを聴くことが出来る。4人のハーモニー中心のアレンジが素晴らしい。トリスト・カーレス新加入が「吉」と出たようだ。
打ち込みを加えたアレンジは今風で、そのサウンドは現代ジャズのど真ん中。決して「懐メロ」では無い。今のジャズとしてのマントラの音がここにある。1曲目の「Cantaloop (Flip Out!)」を聴けば、それが良く判る。ハービー・ハンコックの「Cantaloupe Island」をベースにしたUS3のヒット曲「Cantaloop (Flip Fantasia)」のマントラ・ヴァージョン。新しい響き。創造的な内容。実に格好良い。
カーレスの声が声域も声質もポールとあまり変わらないので、区別が付きにくいのが難点と言えば難点だが、女性ボーカルを加えた、往年のマントラ・コーラスの響きを聴けば、あんまり気にするほどのことは無い。往年のマントラが甦った様な新作。我々「マントラ者」からすれば、この盤、実に嬉しいプレゼントです。さあ、旧作を一気に聴き直してみようか。
東日本大震災から7年5ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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