熱い夏にラテンジャズが良い
熱いコッテコテファンキーなジャズは、この蒸し暑い夏にはちょっと辛い。それでも、耳に優しい、緩やかなジャズは、それはそれで、聴いていてパンチが感じられなくて物足りない。そんなこんなで、ジャズを聴き初めて3年目の夏。夏はラテン、夏はラテンジャズ、と決め込んで、それ以来、ちょこちょことラテンジャズのアルバムを集めては聴いている。
Chucho Valdés『Live at the Village Vanguard』(写真左)。1999年4月9〜10日、NYは、ヴィレッジヴァンガードでのライブ録音。キューバが誇る超絶ピアニスト、チューチョ・ヴァルデスのライブ盤である。2001年には、グラミー賞の最優秀ラテンジャズ・アルバム賞を受賞している。
「Ladies & Gentleman!お気を付けください、カリブから台風が近づいております!」というアナウンスで始まる。実に粋である。始まった演奏は、ぶっ飛びそうな、爽快感溢れるラテンジャズ。ダイナミズムあり、メロディアスなフレーズあり、ノリの良いタッチの明確なバルデスのピアノが脳髄にビンビン響く。これが意外と爽快。バルデスのピアノは、タッチに濁りが無く、テクニックが明確なのだ。
チューチョ・ヴァルデスは、1941年10月9日、キューバは南ハバナのキビカン生まれなので、このライブ盤録音時は58歳。ジャズ・ピアニストとして、成熟したベテランの域に達した時期で、そのプレイについて、ダイナミックで思いきりメリハリが効いているのだが、どこか「良質な余裕」が感じられるのだ。その余裕が良い感じに響いていて、結構、アクティブなラテンジャズなんだが、不思議と聴き疲れしない。
4曲目の大スタンダード曲「My Funny Valentine」と5曲目の「To Bud Powell」を聴くと、このライブ盤の演奏の面白さが感じられる。キューバン・フレーバーのラテンジャズでアレンジされた「マイ・ファニー・バレンタイン」は、こってこてにファンキー。こんなに徹底的にファンクネスを注入された「マイ・ファニー・バレンタイン」は聴いたことが無い。
「To Bud Powell」は、ラテンジャズ仕様の「ビ・バップ」。ヴァルデスの思いっきりラテン・フレーバーなピアノが、高テクニックな弾きまくり「ビ・バップ」をやっている。今までに聴いたことの無い音世界。まるで、キューバで聴く「ビ・バップ」ってこんなんなんだろうな〜、なんて変な感心の仕方をしてしまう。とにかく、気持ち良く思い切り良くノリノリな演奏。爽快感の嵐。熱い夏に逆療法的な乾いた熱気溢れるライブ盤である。
東日本大震災から7年4ヶ月。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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