ジャズ喫茶で流したい・125
いきなり涼しくなった千葉県北西部地方。この夜、外の気温は25度。窓を開けっ放しにした室内は27度、湿度50%。全くのエアコン要らずである。酷暑の西日本の皆さんには申し訳ないが、猛暑について一息ついた今日一日である。半袖で過ごしやすい気温。ジャズも聴きやすさが増して、今日は大好きなピアノ・トリオ盤に触手が伸びる。
Richard Wyands『Then, Here and Now』(写真左)。1978年10月12日の録音。ちなみにパーソネルは、Richard Wyands (p), Lisle Atkinson (b), David Lee (ds)。リチャード・ワイアンズはジャズ・ピアニスト。1928年、カリフォルニア州オークランド生まれ。今年で90歳。あまり有名なピアニストでは無くて、僕もつい最近、意識し出したくらい。
このトリオ盤、ワイアンズ、50歳での記念すべきリーダー1作目。1978年のリリースなので、ジャズ界は、ソフト&メロウなフュージョン・ジャズが大盛況な時代。そんな中での純ジャズなピアノ・トリオ盤である。注目される筈が無い。しかし、ジャケットが良い。なんか雰囲気のあるジャケット写真。ワイアンズの横顔。実は僕はこの盤を「ジャケ買い」「ジャケ聴き」して、大当たりだった。
とても良く鳴り、良く唄うピアノであり、爽快度満点、ポジティブなフレーズのてんこ盛り。テクニックも上々、ビ・バップなマナーではあるが俗っぽくなく、アートに傾きも過ぎず、ちょっとポップでサラッとしていて、メリハリの効いた聴き易いピアノである。ピアノの響きがとても素敵。トリオ演奏のアレンジはあっさりしていて、変にこねくり回したり、複雑にしない、シンプルな展開は飽きが来ない。
冒頭の「Yes It Is」を聴けば、背筋が伸びて、不意に目が覚めたような感覚に襲われ、気がついたら思わず、ジャケットを見にカウンターに走る、そんな気持ちの良いパフォーマンスである。7曲目の「Blue Rose」、デューク・エリントンの佳曲で、ちょっとアップテンポな弾き回しで、とても粋で洒落たハードバップ・ピアノ。見事です。
バックのアトキンスのベースも低音を響かせつつ、演奏の底をガッチリ支えるベースラインがとても魅力的。リーのドラミングも雄弁で疾走感溢れ、ところどころで職人芸を披露しつつ、堅実にリズム&ビートを供給する。これまた素晴らしい。こんなピアノ・トリオ盤があったなんて、ジャケ買い、ジャケ聴きの言い伝えに感謝です。今、眺めてみても、良いジャケットですね〜。
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