ヨーロピアン・カルテットの本質 『Nude Ants』
キースのヨーロピアン・カルテットを聴いている。ヨーロピアン・カルテットとは、キースがリーダーとなって、ECMレーベルをメインに録音したカルテットのこと。1970年代中盤〜後半を中心に、約6年の活動期間だった。2012年までは、公式アルバム数は「4枚」だったが、2012年に『Sleeper』が追加リリースされて「5枚」。
そんなキースのヨーロピアン・カルテットなのだが、相対する「アメリカン・カルテット」と好対照な演奏内容なのかしら、と思うのだが、意外と演奏のコンセプトは同じ。同じ演奏コンセプトを、ヨーロピアンなテナーとリズム・セクションでやるとどうなるか。逆に、アメリカンなテナーとリズム・セクションでやるとどうなるか、キースはそれぞれ比較していたような気がしている。
Keith Jarrett『Nude Ants』(写真左)。邦題『サンシャイン・ソング』。1979年5月、NYのヴィレッジ・ヴァンガードでのライブ録音。ECMの1171/72番。LP2枚組のボリューミーな盤である。改めてパーソネルは、Keith Jarrett (p), Jan Garbarek (ts, ss), Palle Danielsson (b), Jon Christensen (ds)。所謂「ヨーロピアン・カルテット」な4人である。
このライブ盤、演奏内容が面白い。ヨーロピアン・カルテットでありながら、ゴスペル・タッチのピアノをベースとした、米国ルーツ・ミュージックな、自由度の高い即興演奏がメインなのだ。ミッド・テンポでアーシーな演奏が心地良い。ガルバレクのサックスはあくまで「透明度溢れクール」。この盤での激しさはコントロールされた「激しさ」。アメリカン・カルテットの様な「気持ちの昂ぶりにまかせた激しさ」の微塵も無い。
加えて、ゴスペルタッチでアーシーな即興演奏でありながら、ファンクネスは皆無。ソリッドで硬質でクリアなリズム&ビートで、ゴスペル、カリプソな演奏を繰り広げる様は「爽快」。乾いたブルージーな旋律は明らかに「欧州的」。これぞ、ヨーロピアン・カルテットの演奏である、と言わんばかりの圧倒的パフォーマンス。
タイトルの「Nude Ants=裸のアリ」どういう意味かなあと思って調べてみたら、『Nude Ants』と収録曲「New Dance」の音が似ているところからつけられたタイトルとのこと(「ジャズ批評88キース・ジャレット大全集」より)。いわゆる言葉遊びですね。タイトルにはあまり意味が無いことが判りました。しかし、このライブ盤の演奏こそが、ヨーロピアン・カルテットの本質ではないか、と思っています。それほどまでに充実した内容のライブ盤です。
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