『Eloquence』〜 ビル・エヴァンスの肖像
ジャズ・ピアノのレジェンドの代表の一人、ビル・エバンス。ビル・エバンスは生前、自分のパフォーマンスの評価には厳しかった人だったみたいで、アルバム一枚分のスタジオ録音の音源丸々、発売NGを出したり、特にライブ音源の評価には厳しかった。故に、生前に残した未発表音源は結構な数だったみたいで、1980年9月15日に逝去して以来、現在に至るまで、様々な種類の未発表音源がリリースされ続けている。
BIll Evans『Eloquence』(写真)。邦題『ビル エヴァンスの肖像』。録音時期は1973年11月〜1975年12月に渡る。4回の録音を集めた、いわゆる未発表音源集である。リリースは1982年。エバンスの死後、2年経ってのリリースである。しかし、パーソネルは固定されているところがエバンスの未発表音源らしい。ちなみにパーソネルは、Bill Evans (p), Eddie Gomez (b)。
この盤、全て未発表音源なのだが、演奏内容は、前半の1〜4曲目まで、エバンスとゴメスのデュオ演奏。エバンスの演奏史上、最高のパートナーでありベーシストであるゴメスとのデュオ。発表されている音源だけでも、その充実した内容については、このエバンスとゴメスのデュオは最高レベルのものであったが、この未発表音源についても、そのレベルは変わらない。
変わらないどころか、この未発表音源の方が出来が良いのではないか、と思われる演奏もあって、ビル・エバンスの録音音源に関する評価基準の厳しさを改めて感じる。このデュオ演奏では、エバンスはエレピにも手を染めている。November 7-10, 1974年11月の録音分の「Gone With The Wind」「Saudade Do Brasil」の2曲なんだが、改めて聴くと、やはりエバンスのエレピって内容があると僕は思う。
そして、後半の5〜8曲目が、エバンスのソロ。特に、2種類のメドレーが素晴らしい。1973年11月録音の「When In Rome 〜 It Amazes Me」のメドレー。そして、1975年12月録音の「But Not For Me 〜 Isn't It Romantic 〜 The Opener」。エバンスのピアノ・ソロ、それもメドレー演奏は素晴らしい。このメドレーが未発表音源だったなんて信じられない。
この未発表音源集の『Eloquence』、収録された未発表音源の内容はとてもレベルが高いものばかり。恐らく、LP時代のアルバムの収録時間の関係で、アルバムに収録出来なかった演奏ばかりを集めたものでは無いかと推測している。でも、エバンスの中の何かの基準を持って、収録の可否を判断している訳で、この未発表音源の出来を改めて体験してみて、やっぱりエバンスの自分のパフォーマンスの評価の厳しさを再認識した次第。
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