グレゴリー・プリヴァに出会う
冒頭の1曲目を聴いただけで、グイッと惹き込まれるジャズ盤に時々出会う。このピアノ・トリオの音を初めて聴いた時、凄く綺麗な音やな〜と感心して、聴き進めるにつけ、グイグイと惹き込まれた。流麗なピアノの音、低音豊かにタイトに響くベース、切れ味良く硬質なビートを叩き出すドラム。冒頭の「Le Bonheur」を聴いて、これはなかなか良いピアノ・トリオだと直感した。
Grégory Privat『Family Tree』(写真左)。2016年12月のリリース。ちなみにパーソネルは、Grégory Privat (p), Linley Marthe (b), Tilo Bertholo (ds)。音を聴けば、ファンクネス希薄でリリカルな、欧州系ピアノ・トリオ。ベースの音はゴリゴリと正統派。ドラムは切れ味良く、硬質に響く。正統派のメインストリームなピアノ・トリオである。
リーダーのピアニストについて。Grégory Privat=グレゴリー・プリヴァ、と読むらしい。1984年、仏領マルティニーク島生まれ。マルティニークは、カリブ海に浮かぶ西インド諸島のなかのウィンドワード諸島に属する一島。つまり、プリヴァはカリビアン。しかし、彼の奏でるピアノの音は、とても「北欧的」。僕は最初、北欧ジャズのピアノ・トリオと思い込んだくらいだ。
このグレゴリー・プリヴァは、フランス・ジャズの若手有望株なピアニストである。今年で34祭。ジャズの世界ではまだまだ若手。この盤では、そんな若手の溌剌とした、切れ味の良い、リリカルで流麗なピアノを聴くことが出来る。一聴すれば「北欧のジャズ・ピアノか」と思うのだが、プリヴァのピアノには、光の様にキラキラした明るさがある。そして、リズミカルなアドリブ・フレーズが特徴で、これは北欧ジャズには無い個性。
プリヴァのトリオは精緻で流麗。ラフな面が全く無いところがフランス・ジャズらしくない。この精緻で流麗なところは「北欧ジャズ」の個性。そういう意味では、このトリオ盤の演奏は新しいフランス・ジャズの成果を聴かせてくれているとも言える。8曲目の「Ladja」を聴けば、このトリオ、ダイナミズムも兼ね備えていることが良く判る。
とても魅力的なピアノ・トリオである。今までリリースされた他のアルバムも聴いてみたい。そんな気にさせるに十分な魅力的な内容である。そして、次のアルバムを早く聴きたい。そんな思いを強く持たせてくれる。どの曲の演奏を聴いても、内容のある正統派のメインストリームなピアノ・トリオ。偶然になかなかの好盤に出会ったと思わず嬉しくなった。
東日本大震災から7年。忘れてはならない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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