ダウケレン、侮り難しである。
ジャズは「深化」している。「進化」はなかなか難しくなったが、「深化」は確実に進んでいる。今回、このアルバムを聴いて、その感覚を再確認した。Jan Van Duikeren『Jan Van Duikeren's Fingerprint』(写真左)。「ヤン・ヴァン・ダウケレンズ・フィンガープリント」と読む。2011年2月のリリース。
紹介記事を読んでみると、キャンディー・ダルファー、トレインチャ、ザ・ジャズインヴェーダーズ、ニュー・クール・コレクティヴ・ビッグバンド、ジャズ・オーケストラ・オブ・ザ・コンセルトヘボウ、それら全てに参加するオランダ・ジャズ・シーンのファースト・コール・トランペッター「ヤン・ヴァン・ダウケレン」初のリーダー作だそうだ。
確かに「良い」。トランペットの音がとてもポジティヴに、躍動感溢れ、響きまくる。素直ではあるが、ちょっとだけ捻れた「鯔背な」トランペット。現代の「鯔背な」トランペットである。なるほど、このヤン・ヴァン・ダウケレンが、和蘭でファースト・コール・トランペッターだと言われるのが、とても良く判る。
こんなポジティヴなトランペット、確かに欲しいし、一緒にやってみたくなるよな〜。アルバム全体の雰囲気は「現代のファンキー・ジャズ」。これまでのファンキー・フュージョンやジャズ・ファンク、ソウル・ジャズの要素を取り込みながら、全体の雰囲気は、コンテンポラリーでクールな「ファンキー・ジャズ」。
ファンキー・ジャズでありながら、ファンクネスはあっさり目。こってこてなファンクネスとは全く無縁。さすがは欧州は和蘭のジャズである。爽快感抜群、ポジティブで鯔背な「ファンキー・ジャズ」。そして、ずっとダウケレンのトランペットを聴いていて、どこか温和な雰囲気が漂っているところがユニーク。ほど良く抑制が効いている、というか、ポジティヴに「温和」なのだ。
ハードバップなジャズに定盤な雰囲気、所謂「熱気溢れ、汗が飛び散る熱いブロウ」というところが無く、力感はしっかりあるが、どこか温和なトランペットの音が実に面白い。他のトランペッターにはちょっと見当たらない「温和で鯔背な」トランペット。これが以外と癖になり、何度も繰り返し聴くハメに陥っている。ダウケレン、侮り難しである。
東日本大震災から6年11ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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