ごった煮の「アメリカン4」 『Expectations』
キースのアメリカン・カルテットを聴き直しているんだが、アメリカン4って、演奏内容がちょっととっちらかっているところがあって、洗練度合いが足らないと言ったら良いのか、決め手に欠けると言ったら良いのか、キースらしいと言えばキースらしい、やりたいことがてんこ盛りなアルバムがほとんど。
もう少し演奏内容を整理して、やりたいことを整理して、アルバム単位の演奏内容を整えたら良いのに、と常々思うのだが、このアメリカン4においては、そうはいかなかったみたいだ。それと、このアメリカン4、テナーのデューイ・レッドマンの存在感というものが良く判らなくて、これはこれで釈然としない感がどうしても残る。
Keith Jarrett『Expectations』(写真)。このアルバムだって、そういう傾向を引き継いでいる。1972年4月の録音。ちなみにパーソネルは、Keith Jarrett (p, ss, conga), Charlie Haden (b), Paul Motian (ds, conga), Dewey Redman (ts), のアメリカン4に加えて、Sam Brown (g), Airto Moreira (perc)。ギターとパーカッションが客演した、キースのアメリカン4である。
内容はと言えば、ギターとパーカッションが加入したことにより、キースの「やりたいことがてんこ盛り」な面が思いっきり出た内容になっている。ピアノの響きが豊かで流麗な正統派なピアノ・トリオな演奏があれば、アフリカン・ネイティブなゴスペル調のフォーキーな演奏あり、アブストラクトな演奏あり、現代音楽風の完全フリーな演奏あり、とにかくごった煮。
やりたいことのそれぞれを単発で聴けば、どれもが優れた内容である。勿体ないなあ。もう少し演奏内容を整理して、やりたいことを整理すれば良いのに、と改めて思ってしまう。そして、どの演奏を聴いても、この盤でも、デューイのテナー、ブラウンのギター、アイアートのパーカションの存在の意味が何と無く良く判らない。
この盤、ジャケットを見て、キース盤として見ると違和感を感じるんだが、キースのアルバムの中で、この盤だけ「Columbiaレーベル」からのリリースになっている。LPだと2枚組、そして曲によってストリングスやブラスが配されていて、さすが大手レーベルって感じなのだが、なんとなく、キースに合わないなあ、というのが僕の本音。そういう意味で、この盤は、キースのアルバムの中でも異色盤として捉えて良いかと思います。
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