アメリカン4 の初録音 『The Mourning of a Star』『El Juicio』
振り返ると、どうも「キースのアメリカン・カルテット」について、しっかりと聴いていないのではないか、と最近思うようになった。ので、このところ、しっかりと「キースのアメリカン・カルテット」のアルバムを聴き直してきた。意外とアメリカン・カルテットはとっちらかっていて、意外とまとまりのないカルテットだった様な気がしている。
さて、この「キースのアメリカン・カルテット」の始まりはこのアルバム2枚に記録されている。Keith Jarrett『The Mourning of a Star』(写真左)と『El Juicio』(写真右)。1971年7月と8月の録音。ちなみにパーソネルは、Keith Jarrett (p, ss, conga), Charlie Haden (b), Paul Motian (ds, conga), Dewey Redman (ts)。
まず、最初は『The Mourning of a Star(邦題:流星)』らしい。この盤のパーソネルは、キース+ヘイデン+モチアンの「アメリカン・トリオ」な編成で、テナーのレッドマンは入っていない。ソプラノ・サックスの音がするが、これはキースが吹いている。フリー・ジャズの影響と、キース特有のリリシズムが不思議なバランスで同居した一枚。キースのフォーキーでゴスペルチックなピアノが懐かしい。初期のキースは、米国ルーツ音楽への傾倒が特徴のひとつだった。
同じ時期の録音として、『The Mourning of a Star』の4年後にリリースされた盤が『El Juicio(The Judgement)』。邦題は『最後の審判』。こちらは、レッドマンのテナーが参加していて、キース+ヘイデン+モチアン+レッドマンの混じり気無しの「アメリカン・カルテット」な演奏。この盤でも、キースはフォーキーでゴスペルチックなピアノとフリーキーなピアノの2面性が明確である。
レッドマンはこのフリーキーなピアノのキースに反応して、イマージネーション溢れるテナーを吹き上げている。それでも、オーネット・コールマンに捧げられた「Piece for Ornette」では、キースはソプラノ・サックスを吹きまくっている。テナーのレッドマンがいながらのこの振る舞い。まだ、フロントのテナーが必要なのかどうか、迷っていたのかもしれない。
この初期の2枚の録音には、「キースのアメリカン・カルテット」の特徴である、フォーキーでゴスペルチックな「アーシーな演奏」と、自由度の高い「フリーキーな演奏」との2面性がしっかりと記録されている。ただし、収録曲はどれもが少し「とっちらかった印象」で、洗練度が足らない。キースがあまりに閃き中心に演奏を進めていた印象があって、この後どうなるのか、期待と不安が入り交じった内容に留まっている。
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