安心安定なオルガン・ジャズ
ブルーノート・レーベルは、オルガン・ジャズの宝庫である。知る人ぞ知る話なんだが、内容的に優れた盤が多く存在する。さすがはブルーノートで、こってこてファンキーなノリノリ・ジャズだけでは終わらない。どこか、インテリジェンス漂う、アーティスティックな部分がある。これによって、アルバム全体が引き締まり、飽きることが無い。これが良い。
そんなブルーノートのオルガン・ジャズの一枚がこれ。 Big John Patton『Let 'Em Roll』(写真左)。1965年12月の録音。ちなみにパーソネルは、Big John Patton (org), Bobby Hutcherson (vib), Grant Green (g), Otis Finch (ds)。まだまだ、ブルーノートの総帥、アルフレッド・ライオンが関与している。アルバム全体がカッチリまとまっている。
ジョン・パットンのオルガンは「明らかにファンキーなハモンド・オルガン」な音。太くて丸く、くすんで伸びのある音色。ファンキーでソウルフルであるが、どこか抑制されていて、どこか品の良いところがある、整ったフレーズ。とっても適度でファンキーなオルガンである。破綻が無く、荒れたところが無いところが、実にブルーノートらしい。
そんなジョン・パットンのオルガンに、これまた、こってこてジャジーでファンキーなグラント・グリーンのギターが絡む。太いソリッドなシングル・トーンがオルガンのトーンに良く合う。ユニゾン&ハーモニーが実にファンキーで躍動的。太くて躍動感溢れるグラント・グリーンのギターは、オルガン・ジャズに良く似合う。ファンクネスが増幅される。
そして、この盤において「インテリジェンス漂う、アーティスティックな部分」の担い手は、ヴァイブのボビー・ハッチャーソン。ハッチャーソンのヴァイブは思索的で知的。オルガンやギターのホットな躍動感の中に、スッと切れ込むヴァイブのクールな躍動感が実にアーティスティック。ハッチャーソンのヴァイブが、アルバムに詰まったホットなファンクネスをクールダウンさせ、芳しいインテリジェンスを漂わせる。
徹底したオフビートのフィンチのドラムもこの盤の雰囲気にピッタリ。無理に煽ることなく、堅実に的確にビートを供給する。赤が基調のとってもファンキーなジャケット・デザインもこの盤の「ウリ」。破綻なく、適度なファンネスを漂わせ、どこか、インテリジェンス漂う、アーティスティックなオルガン・ジャズ。安心安定の一枚です。
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