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2018年2月11日 (日曜日)

続・ECMに冬の季節が良く似合う

昨日「ECMに冬の季節が良く似合う」と書いた。演奏内容は、基本的に欧州的なニュー・ジャズの音世界。ECMレーベル独特の深いエコーが、冬の寒い空気にピッタリ合う。ファンクネスは皆無。ハードバップの様な熱気溢れる演奏は基本的に無い。フリーな演奏も怜悧な熱気で覆われる。ECMの音は基本的に冬に良く似合う。

そんなECMレーベルには、レーベルの音を代表する「お抱え」ミュージシャンが何人か存在する。昨日、ご紹介したテナーのヤン・ガルバレク(Jan Garbarek)などは、そんなECMレーベルの「お抱え」ミュージシャンの一人。彼の硬質で切れ味の良い、怜悧でエモーショナルなテナーは、ECM独特の深いエコーに乗って、その個性が増幅されて、確かにECMレーベルの音のイメージにピッタリである。

そんなガルバレクの個性をしっかりと捉えた初期の好盤が、Jan Garbarek『Triptykon』(写真左)。1972年11月の録音。ちなみにパーソネルは、Jan Garbarek (ss, ts, bs, fl), Arild Andersen (b), Edward Vesala (perc)。ピアノレスのサックス・トリオ。ガルバレクのサックスが心ゆくまで堪能できる編成である。
 

Triptykon

 
冒頭の「Rim」から「Selje」「J.E.V.」「Sang」までの4曲は、ノンストップのインタープレイ。明らかに欧州系のニュー・ジャズ的雰囲気の、適度にテンションを張った中、3者3様の自由度の高いインタープレイが展開される。ECMの独特のエコーがかかっていて、音と音との間の静謐な「間」がクッキリと浮かび上がる。故に動と静のメリハリが効いて、インタープレイの躍動感が増幅される。

6曲目の「Etu Hei!」は、ガルバレクとヴェセラのデュオ。サックスとパーカッションのデュオで、ふと「コルトレーンとラシッド・アリのデュオ」を想起する。フリーな演奏であるが、ガルバレクのアドリブ・フレーズは破綻が無く、端正である。実に欧州的なフリーの演奏。ガルバレクが「欧州のコルトレーン」と呼ばれる理由がここにあるが、コルトレーンのテナーとは全く異なる個性ではある。

そして、ラストの「Bruremarsj」は実に興味深い。まず、この曲の タイトルって何て読むんだ、なんて思うのだが、ノルウェー民謡なんだそうだ。この北欧的なフレーズを持った佳曲を題材に、ガルバレクは素朴に土臭くフォーキーに吹き上げていく。これ、なかなかの内容だと思うのだが、如何だろう。とにかく、この盤、ECMらしい好盤だと思う。今の季節にピッタリで、思わず聴き込んでしまう。
 
 
 
★東日本大震災から6年11ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。 

Never_giveup_4

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