モンク・トリビュートの好盤
そんなモンクの楽曲であるが、プロのジャズメンとしても、モンクの楽曲は無視出来ない存在みたいで、いつの時代でも「モンク・トリビュート」なアルバムがコンスタントに定期的にリリースされている。即興性や自由度の高い、そして意外性のあるジャズならではの展開がてんこ盛りなモンクの楽曲は、ジャズメンにとっても取り組み甲斐のある素材なのだろう。
と、昨日書いた。確かにそうで、僕はこの「モンク・トリビュート」なアルバムが好きだ。まず、そのジャズメンのスキルが明確に判る。演奏する楽器のテクニック、モンクの楽曲のアレンジ能力、そして、なにより、その演奏するジャズメンの個性が、手に取るように判る。モンクの楽曲って、モンクの奏法って、本当に不思議だ。
Paul Motian『Monk in Motian』(写真)。1989年のリリース。ちなみにパーソネルは、Paul Motian (ds), Joe Lovano (ts), Bill Frisell (el-g), Geri Allen (p), Dewey Redman (ts)。純ジャズ復古の号令がかかって、純ジャズの良作がどんどん量産され始めた頃。良質の「モンク・トリビュート」なアルバム。
ポール・モチアンは柔軟でハイテクニックな職人ドラマー。メインストリームなジャズもいける。しかも、1970年代は、フリーなジャズをガンガンやった。メインストリームなドラミングも、フリーなドラミングもどちらも優秀。そんな柔軟かつ想像性豊かなドラマーがモンク・トリビュートをやる。つまり、モンクの楽曲の「リズム&ビート」に着目した「モンク・トリビュート」。
モンクの奏法のパーカッシヴな個性は、フロントのロバーノのテナーとフリゼールのエレギで緩和しつつ、モンクの楽曲の個性的なフレーズを浮き彫りにすることに成功している。そこにガッツリ絡む、モチアンのドラミング。モンクの楽曲の持つ独特の「リズム&ビート」をしっかりと印象付けてくれる。
面白いのは、ジェリ・アレンのアコピ。多くのアコピの使い手が陥る状態なんだが、モンクが乗り移ったが如く、モンクのコピーの如く、モンクそっくりに弾く。これではピアニストの個性が全く判らん(笑)。どうも、アコピの使い手にはモンクの楽曲は鬼門なのかもしれない。このアレンのアコピはご愛嬌。このモチアンの『Monk in Motian』、「モンク・トリビュート」の好盤である。
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