こんなアルバムあったんや・96
久し振りに「マッコイ・タイナー」が聴きたくなった。マッコイ・タイナーと言えば、1960年代、ジョン・コルトレーンの「黄金のカルテット」のピアニストとして、その名を轟かせ、コルトレーン亡き後、特に1970年代は、そのメリハリの効いた、力強いタッチの「ハンマー奏法」によって、大人気ピアニストとなった。
1980年代以降、ジャズ者に飽きられたのか、その人気は鳴りを潜めたが、ピアニストとしての力量は昔のまま。奏法も買えること無く、流行に迎合することも無く、コルトレーンの「黄金のカルテット」からの、メリハリの効いた、力強いタッチの「ハンマー奏法」は一切、変えることは無い。実に硬派で実直な職人的ピアニストである。
そんなタイナーにも若かりし頃はあった訳で、まだまだ、彼の個性である、メリハリの効いた、力強いタッチの「ハンマー奏法」の萌芽は聴かれるには聴かれるが、まだ個性として確立していない、発展途上のタイナーもなかなかに味わい深いところがある。若々しいというか、瑞々しい堅実なタッチのタイナーが、1962年から1964年の「Impulse! レーベル」の諸作に聴くことが出来る。
このアルバムは、そんな「Impulse! レーベル」の諸作の最後のリーダー作になる。McCoy Tyner『Plays Ellington』(写真左)。1964年12月の録音。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p), Jimmy Garrison (b), Elvin Jones (ds), Willie Rodriguez, Johnny Pacheco (Latin-perc)。コルトレーンの「黄金のカルテット」からコルトレーンを抜いた、リズム・セクションの演奏。
1964年12月と言えば、コルトレーンの「黄金のカルテット」は、かの傑作『A Love Supreme』を録音した時期、この『Plays Ellington』は、この『至上の愛』を録音する直前のリズム・セクションの演奏を捉えたものになる。この直後、『至上の愛』を録音するとは思えないほど、堅実でオーソドックスなピアノ・トリオ演奏。エリントンの曲を十分に理解し、タイナーなりに個性を活かしつつ上手くアレンジした、実に趣味の良い演奏が繰り広げられている。
特に尖ったところはないんだけど、とっても誠実で堅実なピアノ・トリオの演奏で、エリントン・トリビュートの企画盤としても、優れた内容の盤になっている。が、我が国では、なかなかジャズ盤紹介本などで採り上げられることが殆ど無い、知る人ぞ知る「隠れ好盤」である。いかついジャケットに怯まず、一度は耳にして欲しい好盤である。
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