« 多様性と独創性のサード盤 | トップページ | ベビーフェイスはお気に入り »

2018年1月29日 (月曜日)

こんなアルバムあったんや・96

久し振りに「マッコイ・タイナー」が聴きたくなった。マッコイ・タイナーと言えば、1960年代、ジョン・コルトレーンの「黄金のカルテット」のピアニストとして、その名を轟かせ、コルトレーン亡き後、特に1970年代は、そのメリハリの効いた、力強いタッチの「ハンマー奏法」によって、大人気ピアニストとなった。

1980年代以降、ジャズ者に飽きられたのか、その人気は鳴りを潜めたが、ピアニストとしての力量は昔のまま。奏法も買えること無く、流行に迎合することも無く、コルトレーンの「黄金のカルテット」からの、メリハリの効いた、力強いタッチの「ハンマー奏法」は一切、変えることは無い。実に硬派で実直な職人的ピアニストである。

そんなタイナーにも若かりし頃はあった訳で、まだまだ、彼の個性である、メリハリの効いた、力強いタッチの「ハンマー奏法」の萌芽は聴かれるには聴かれるが、まだ個性として確立していない、発展途上のタイナーもなかなかに味わい深いところがある。若々しいというか、瑞々しい堅実なタッチのタイナーが、1962年から1964年の「Impulse! レーベル」の諸作に聴くことが出来る。
 

Mccoy_tyner_plays_ellington

 
このアルバムは、そんな「Impulse! レーベル」の諸作の最後のリーダー作になる。McCoy Tyner『Plays Ellington』(写真左)。1964年12月の録音。ちなみにパーソネルは、McCoy Tyner (p), Jimmy Garrison (b), Elvin Jones (ds), Willie Rodriguez, Johnny Pacheco (Latin-perc)。コルトレーンの「黄金のカルテット」からコルトレーンを抜いた、リズム・セクションの演奏。

1964年12月と言えば、コルトレーンの「黄金のカルテット」は、かの傑作『A Love Supreme』を録音した時期、この『Plays Ellington』は、この『至上の愛』を録音する直前のリズム・セクションの演奏を捉えたものになる。この直後、『至上の愛』を録音するとは思えないほど、堅実でオーソドックスなピアノ・トリオ演奏。エリントンの曲を十分に理解し、タイナーなりに個性を活かしつつ上手くアレンジした、実に趣味の良い演奏が繰り広げられている。

特に尖ったところはないんだけど、とっても誠実で堅実なピアノ・トリオの演奏で、エリントン・トリビュートの企画盤としても、優れた内容の盤になっている。が、我が国では、なかなかジャズ盤紹介本などで採り上げられることが殆ど無い、知る人ぞ知る「隠れ好盤」である。いかついジャケットに怯まず、一度は耳にして欲しい好盤である。
 
 
 
★東日本大震災から6年10ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。

Never_giveup_4

★Twitterで、松和のマスターが呟く。名称「松和のマスター」でつぶやいております。ユーザー名は「v_matsuwa」。「@v_matsuwa」で検索して下さい。
 

« 多様性と独創性のサード盤 | トップページ | ベビーフェイスはお気に入り »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: こんなアルバムあったんや・96:

« 多様性と独創性のサード盤 | トップページ | ベビーフェイスはお気に入り »

リンク

  • まだまだロックキッズ(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のロック」盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代ロックの記事を修正加筆して集約していきます。
  • 松和の「青春のかけら達」(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    この「松和・別館」では、懐かしの「1970年代のJポップ」、いわゆるニューミュージック・フォーク盤の感想や思い出を率直に語ります。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、70年代Jポップの記事を修正加筆して集約していきます。           
  • AORの風に吹かれて(バーチャル音楽喫茶『松和』別館)
    AORとは、Adult-Oriented Rockの略語。一言でいうと「大人向けのロック」。ロックがポップスやジャズ、ファンクなどさまざまな音楽と融合し、大人の鑑賞にも堪えうるクオリティの高いロックがAOR。これまでの、ジャズ喫茶『松和』マスターのひとりごと・ブログの中で不定期に掲載した、AORの記事を修正加筆して集約していきます。  

カテゴリー