ライト感覚なファンキー・ジャズ
ファンキー・ジャズは聴いていて心地良い。ハードバップのフォーマットで、ファンキーな要素を前面に押し出して、ポップなアドリブ・フレーズを繰り出して、とにかく聴いて楽しい、聴いて心地良い音世界を展開する。あっけらかんと純ジャズを楽しむのなら、ファンキー・ジャズは最有力の演奏フォーマットだろう。
Blue Mitchell & Junior Cook 『Quintet Sessions "The Cup Bearers" / "Junior's Cookin'" 』(写真)。この盤には、その「ファンキー・ジャズ」の良いところがギッシリと詰まっている。このCDはクック名義の『Junior’s Cookin’』(Jazzland JLP-958) 、ミッチェル名義の『The Cup Bearers』(Riverside RLP 9439) をカップリングしたもの。
パーソネルは、1曲目〜7曲目の『Junior’s Cookin’』は、1961年4月と12月の録音で、Blue Mitchell(tp), Junior Cook(ts), Dolo Coker(p), Gene Taylor(b), Roy Brooks(ds)。8曲目〜14曲目の『The Cup Bearers』は、1962年8月の録音で、Blue Mitchell(tp), Junior Cook(ts), Cedar Walton(p), Gene Taylor(b), Roy Brooks(ds)。ピアノ以外は、当時のホレス・シルヴァー5重奏団のレギュラー・メンバー。
ホレス・シルヴァー御大のピアノが無い分、ファンキー・ジャズとしての「ファンクネス度合い」は若干軽くなる。逆にライトになった分、ポップで聴き易く判り易い演奏になっているように感じる。また、親分のシルヴァーがいない分、ミッチェルのトランペットやクックのサックスがフィーチャーされているところが面白い。というか、現金やなあ(笑)。
ミッチェルのトランペット、クックのサックスは、決してテクニック的には突出して優れている訳では無い。時に拠れるし、時に詰まったりする。それでも、ミッチェルのトランペット、クックのサックスは、とってもファンキーな音色を醸し出す。そのファンクネス溢れる音色が、ユニゾン&ハーモニーが全くのところ「ファンキー・ジャズ」なのだ。
ピアノのドロ・コーカー、シダー・ウォルトンの存在が「ミソ」で、シルヴァー・クインテットの時よりも、醸し出されるファンクネスがあっさりしていて、演奏全体がスッキリしているところがこのメンバー編成の面白いところでしょう。ファンキー・ジャズのど真ん中からちょっとポップに外れたところにある盤で、そういう意味では「ジャズ者中堅」向けかな。隠れた好盤です。
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