軽快でスッキリしたオルガン奏者
ジャズ・オルガンが大好きである。もしかしたら、ピアノより好きかもしれない。ジャズにおいて、オルガンとは「こってこてファンキー・ジャズ」の必需品。特に、オルガンの音を「シュワシュワ」揺らす装置、レスリー・スピーカーなどを使って、ハモンド・オルガンを太い音で「グワ〜ッ」とやると、もうそこは漆黒ファンキーの世界。
もともとハモンド・オルガンの音って、協会のゴスペルの伴奏をする楽器というイメージがあって、その音そのものが「ファンキー」なんですよね。フット・ペダルでベース・ラインを押さえる演奏家も多く、このベース音が、これまた太い低音鳴り響き、ブンブンいう音がやっぱり「ファンキー」なのだ。
しかし、この人のジャズ・オルガンは、ファンキーなんだけど「軽快でスッキリ」している。ファンクネス度合いもベッタベタなファンクネスというよりは、ライトなファンクネス。オーバー・ファンクな音世界が苦手なジャズ者の方々が一目置く存在。その名は「シャーリー・スコット(Shirley Scott)」。ジャズ界では稀少の女性のオルガン奏者である。
Shirley Scott『On A Clear Day』(写真左)。1966年1月の録音。"Queen of the Organ"と呼ばれたシャーリー・スコットのリーダー盤。ちなみにパーソネルは、Shirley Scott (org), Ron Carter (b), Jimmy Cobb (ds)。シャーリー・スコットは、ベースは本職のベーシストに任せて、オルガンで旋律を弾くタイプ。
ベースを本職のベーシストに任せているので、ベース・ラインが柔軟でバリエーション豊か。演奏全体に音の陰影と緩急をしっかりと与えている。ベースの生音というのは、結構、切れ味良くスピード感があるので、耳にもたれない。所謂オーバー・ファンクに陥ることは無い。ここがシャーリーのオルガンの「ミソ」で、ベースを本職のベーシストに任せることで、オルガンの演奏自体が、ァンキーなんだけど「軽快でスッキリ」するのだ。
ジミー・コブのドラミングも見事。オルガンのアドリブ・フレーズって、音が伸びるので、ピアノの様に歯切れ良く、間が空くことが少ない。そういう連続した音の羅列を、鼓舞するが如く、刺激するが如く、歯切れの良い硬軟自在なドラミングは、シャーリーのファンキーなんだけど「軽快でスッキリ」なオルガンに相性抜群である。
選曲もスタンダード中心で、ライトな感覚のシャーリーのオルガンがしっかりと馴染む。シャーリーの軽快なオルガンが、軽快なスイング感を供給してくれる。決して、オーバー・ファンクに偏って耳にもたれることは無い。ファンキーなんだけど「軽快でスッキリ」したオルガンだからこそ、ボサノバの名曲、アントニオ・カルロス・ジョビンの「Corcovado」をカバーすることだって出来るのだ。
★東日本大震災から6年9ヶ月。決して忘れない。常に関与し続ける。がんばろう東北、がんばろう関東。自分の出来ることから、ずっと復興に協力し続ける。
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