ハバードの真摯なセカンド盤 『Goin' Up』
初リーダー盤『Open Sesame』で、神妙かつ堅実なブロウを披露、その才能を遺憾なく発揮したフレディ・ハバード。しかし、彼の高テクニックで自由奔放なブロウは「抑制」状態だったことは否めない。それが証拠に、この初リーダー作は、ハバードの抑制のトランペットを評価する反面、ブルージーな雰囲気を増幅させる、ティナ・ブルックスの哀愁のブロウを評価する声も高かった。
それでは、とブルーノートの総帥アルフレッド・ライオンはリーダー作第2弾をセットアップする。Freddie Hubbard 『Goin' Up』(写真左)。1960年11月の録音。ブルーノートの4056番。ちなみにパーソネルは、Freddie Hubbard (tp), Hank Mobley (ts), McCoy Tyner (p), Paul Chambers (b), Philly Joe Jones (ds)。初リーダー作とは打って変わって、第一線級の人気ジャズメンで周りを固める。
テナーのモブレー、ベースのチェンバース、ドラムのフィリー・ジョー。もとマイルス楽団のスター・ジャズメン達。相手にとって不足は無い。ピアノだけは初リーダー作同様、当時、まだまだ駆け出し若手のマッコイを継続している。恐らく、マッコイのピアノは伴奏上手だけあって、ハバードにとって吹きやすかったのだろう。
この盤でのハバードは吹きまくっている。初リーダー作では「抑制」したが、このセカンド盤ではテクニックを駆使して、しっかりと吹きまくっている。フロントのパートナーにテナーのモブレーがいるので、胸を借りる感じで、テクニックを駆使しつつ、ハバードは力強くトランペットを吹いている。併せてハバードに刺激されて、相対するモブレーが、何時になく溌剌としているのが面白い。
ベースのチェンバースは太いベースでビートを支え、ドラムのフィリー・ジョーは、迫力のドラミングでフロントを鼓舞する。アタックにメリハリのあるマッコイのピアノは、ノリが良くフロントをスイングさせる。さすがに第一線級のジャズメン達である。ハバードのハイテクニックでしっかりしたブロウをしっかりと受け止めている。故にハバードのトランペットが映えに映える。
この盤でのハバードは真摯である。まだまだ前面に出て目立ちたがることは無い。第一線級の先輩ジャズメン達を相手に、真摯に胸を借りるつもりで、相手に敬意を表しつつ、思い切ってぶつかっていくようにトランペットを吹きまくるハバードは実に愛らしい。密度の濃い、ハイテクニックなブロウは決して耳に付かない。どころか、耳にとても心地良い。
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マスター今年も色々楽しませていただきましてありがとうございました。
新しいものにも偏見をもたず積極的に耳を傾けるマスターのご姿勢には頭がさがる思いです。
さて今年も色々なジャズを楽しみましたが、またも「極私的2017年新発見愛聴盤」笑です。
○「Cleo Brown - Living In The Afterglow」1996 年録音
今年発見して、一番ハマったCDです。いわゆるブルース、ゴスペル、といいますか、アメリカの田舎町のバーで聞いているような雰囲気ですが、もう一人の影の主役のピアノのマリアンマクパートラントもご機嫌で楽しめました。
たとえばバドパウエルの「アイシュドケア」(ルースト盤)とか、浅川マキの「淋しさには名前がない」のホンキートンクスタイルのバックが大好きな私にはうれしい発見でした。
○「Earl Anderza - Outa Sight」1962年録音
これも初めて知ったアルト奏者でしたが、私の「チャルメラアルト嫌い」笑をひっくりかえしてくれるくらいの「モロ チャルメラアルト奏者」?ですが、とても惹かれました。
マクリーンよりはフィルウッズ派の私にとっても意外といえるほどの発見でもありました。笑
来年もまた楽しく拝見させていただきたく、期待しております。
投稿: おっちゃん | 2017年12月20日 (水曜日) 07時54分